第1話-出会い-
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「はい、どうぞ」
「ありがとう!いただきます!」
お母さんが作ってくれたハンバーグを1口入れると、大好きな味が口内に広がった
「それで?どんな話をしたの?」
「あ、そうそう!あのね」
私は先生達と倒れたことを除いて、全てをお母さんに話した
忙しいお母さんには余計な心配はかけたくなかった
お母さんは嬉しそうな顔で私の話を聞いてくれていた
「というわけで、私は巨人と戦っていたらしいのです」
「なにその喋り方」
くすくすと笑うお母さんを見て、私も思わず笑ってしまう
「会えたのね、皆と」
「……………どういうこと?」
「………たまに寝言で言ってたのよ。エレン、ミカサ、アルミンって」
「え!?本当!?」
「その時のあなたはとても苦しそうで、涙を流していたわ。誰なんだろうって思っていたけどまさか前世のことが関係しているとはね」
「本当に驚かないね?」
「今に始まったことじゃないわ」
お母さんはそう言ってハンバーグを1口食べた
「…………アルミンから話を聞いてさ、前世の私は巨人と戦っていたんだけど、その中で多くの人が亡くなったんだって」
「…………そう」
「巨人は人を食べて、エレンのお母さんも巨人に食べられた。巨人を倒すために領土を奪還するために、兵団に入っていた仲間たちも、住んでいた人たちも、多くの犠牲が出たんだって」
「それでもあなたは戦うことをやめなかった。でしょ?」
「…………うん、そうだね。なんか理由があったんだろうな。巨人と戦うことに、何かの理由があったんだよね」
「そうねぇ………。そんな難しく考える必要はないんじゃない?」
「…………どういうこと?」
「それは自分で考えてみなさい」
お母さんはそう言って、意地悪そうに笑った
「えー!そこまで言っておいて!?」
「時には考えることも必要よ」
「なにそれ………」
モヤモヤした気持ちを抑えるかのように、ご飯をかきこんだ
「でもよかったわね。楽しい高校生活になりそうで」
「………うん!」
「あ、飲み物なかったね」
お母さんは一度テーブルから離れ、冷蔵庫を開けた
私に向ける背は、キッチンに立つその背は何度も何度も見たことがあるのに
何故か不思議な既視感があった
「…………お母さん?」
「ん?なぁに?」
「どうして………、泣いてるの………?」
「…………え?」
私の質問とお茶をコップに注ぐ音がピッタリと重なった
振り返ったお母さんは不思議そうに、不安そうに
「泣いてないわよ……?」
そう言った
「…………あれ?今私………」
頭を抱えた私に
「………前世を知るのもいいけど、これだけは約束して」
「………………?」
"絶対に無理はしないで"
お母さんがなんでそんなことを言ったのか
なんで泣いてると思ったのか
何故私はお母さんに前世の記憶がないと思い込んだのか
その全ての理由は、初めから決まっていたことに
まるで気づかないでいた
第1話-出会い- END.