呪術
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_____彼、乙骨憂太が私の気持ちに気づいたのは、私が死と生の境をさ迷う目にあう、少し前
それまでは彼にとって私という存在はただの...
そう、
____ただの同じ高専に通う仲間。同級生。それだけだったんだろう
「ねぇパンダ、私ね、乙骨君が好きみたい」
「あー...まぁ、なんとなくそんな感じはしてたな。真希と棘は気づいてないと思うけど」
「パンダって、パンダのくせに人の感情とか心情に敏感だよね。パンダのくせに」
「2回言うなよ...。......で?告白すんの?」
「......しないよ。だって乙骨君の心の中にはまだ、里香ちゃんがいるから。私の入る隙間なんてないし、この気持ちは墓まで持っていくつもりだよ」
「呪術師なんていつ死ぬかもわかんねぇんだし、別に伝えてもいいんじゃねぇの?玉砕覚悟で」
「あはは、パンダもなかなか酷いこと言うなぁ...」
確かにパンダの言う通り、こんな職種だし告白しようとも考えたことはある。
それでも、私はきっとしない。返事が怖いからとかっていうのもあるけれど...
_______告白したくない一番の理由は、嫌われる自信しかないからだ
「だって考えてもみてよ。乙骨君には里香ちゃんって存在がいて、きっとこれからも彼女を忘れる事は出来ないと思うし、優しい彼の事だから今でも想っていると思うの」
そんな彼に私如きの"愛"なんて、ぶつけることなんて出来ない。邪魔にしかならないだろう。
「好きな人がいる人に"好きです"なんて言っても困らせるだけだし、それって迷惑だと思わない?私は思うよ。それにね、別に告白しなくても、私の気持ちを伝えられなくても、いいの。好きだけど、好きって気持ちを知られたくないというか。はは、これって矛盾かなぁ」
だから乙骨君には私のこの醜い気持ちがバレないように。...そっと蓋をするの。
彼の前では"同級生の柊雪乃"でいるって、心に決めたんだから。
「という訳でパンダ。この話も忘れてね。というか貴方にしか言ってないから誰にも言わないでよね」
「へいへい...。なぁ雪乃、最後に1個だけいいか?」
「ん?」
「あんまり自分の気持ちに嘘つくなよー。そのうち本当の気持ちってやつがわからなくなるぞ」
「......うん。わかってる。ありがとうね、パンダ。じゃ、任務行ってくるから」
「おー。気をつけてな」
大丈夫、わかってるよ。
...嘘をつくんじゃなくて、本当の気持ちを隠すだけだから。
わかってる。...わかってる、から。
________その日。派遣先の任務で私は、とある呪霊に出会った。
その呪霊の等級は2級で多少無理をすれば普通に倒せる、そんな相手...なはずだった。
呪霊は私にある幻を見せた。
"それ"が幻と分かったのは事前の資料でそういう術を使う呪霊だと予め認識していた為だ。
これは奴が見せている幻。そう、頭ではちゃんとわかっていた。
「...乙骨君」
そこに立っていたのは紛れもなく私の想い人である乙骨憂太であった。
ただ少し、違うとすれば。
「乙骨君、どうして」
「雪乃さん、好きだよ。君のことが、大好きなんだ」
「違う、それは、違う。違うよ乙骨君。だって貴方は里香ちゃんを忘れられてない。その好意は私に向けられるはずがない、これは幻。幻なら早く、早く覚めて」
「どうして?僕はこんなに君が好きなのに。君も、僕のことが好きでしょ?...だったら両想いで、幸せじゃないか」
彼が満面の笑みで私に愛の言葉を囁く。
_________刹那、私は持参していた呪具で彼の心臓を突き刺す。そこには一切の躊躇いもなかった。
「幻だろうが、私に殺させないでよ...乙骨君」
両目から零れる雫には気づかないフリをして、私は補助監督に任務完了の報告をした。
「あ、お疲れ雪乃さん!任務だったんだね。...顔色悪いけど、大丈夫?」
「...乙骨君」
先程私が心臓を貫いたのは彼ではないのは頭では理解しているのに、気持ちがついていかない。
乙骨君が何か言葉を紡ぐ度にあの幻が言った「好きだよ」が頭に過って胸がドクリと騒ぐ。
あぁ、ダメ。
「乙骨君、私」
それ以上はダメだ、
「私、あなたの事が」
言ってはダメだ______
◆
◆
◆
ピ...ピ...、と静かな部屋で鼓動を知らせる機械音が鳴り響く。
真っ暗な部屋の中で、確かに彼女は息をしていた。
「酷いよね、雪乃さんも」
酷い怪我だった。
家入先生の治療によってなんとか一命は取り留めたものの、彼女の負ったダメージは相当なものであった。家入先生も「ここまで来るのに死んでなかったのが奇跡だったな」と口にしていたくらいだ。本当に危険な状態だったという事は馬鹿な僕でもわかる。
「ねぇ、パンダから話、少し聞いちゃったんだ」
まだ目を覚まさずに眠っている彼女の手をゆっくりと取り、壊れ物を扱うかのようにそっと、でもしっかりと握る。
「勝手に聞いた事は謝るよ。...でも、あの時僕に伝えてくれた言葉の返事をいつまでもさせてくれない雪乃さんもちょっと意地悪だなと思うよ?本当に...」
握り返すことの無い力の入らない手。
けれども、しっかりと生きている。その証拠にこんなにも温度を感じている。それが乙骨にはとても安心できた。
「雪乃さんって結構不器用だよね。あと、里香ちゃんの事をちょっと気にしすぎかなぁ。いや、僕が里香ちゃんを忘れられてない事とか、まだ想ってる部分があるのもそれはそれで確かに否定できないんだけどさ...。でも、さ」
自身の額に彼女の手をくっつける。
両手で握り込み、乙骨は俯いた。
「僕がこれからする恋は、きっと自由だと、思うから」
___だから早く、目を覚まして
僕にもう一度、恋をさせてほしいんだ
「.........お、こつ...くん...?」
「!!!雪乃さん、気がついたの!?っ!家入先生を...」
「ま、って...」
「.........わかった。でも少しだけ。雪乃さんの体が1番大事なんだから、少し話したらすぐに家入先生を呼ぶよ」
「......うん、ありが、と」
繋がれた手にほんの少しだけだが彼女の力が込められる。
「...手、嫌だったら外すけど」と困ったように言えば彼女はぎこちない笑みで「...ううん」と答えた。
「あの、ね。前に、言ったこと、なんだけど」
「...君からの告白のこと、かな」
「.......うん」
か細い彼女の声を一言一句聞き逃さないように、乙骨は腰にかけた椅子を少しだけ前にずらした。雪乃は横目でそれを見るとまた視線を天井へと戻し、ゆっくりと言葉を吐く。
「すき...だよ。乙骨君、貴方が...好き。...本当はね、言うつもり、なかったんだ」
「...うん」
「でも、任務で、私、乙骨君の幻を見て。幻にね、好きって言われて、嘘だってなって」
「僕の幻を見たの?...それで?」
「うん。その、それで。信じられなくて...」
「幻の僕に、好きって言われたことが?」
「......うん。だから、思いっきり、その、心臓目掛けて、呪具ぶっ刺しちゃって」
「幻の僕を殺した後に本物の僕に告白したってこと?」
雪乃は気まずそうに首を縦に振った後、喉奥から絞り出したような声で言った。
「嫌、でしょ。幻とはいっても、私、躊躇いなかったの。なのに、本物の貴方を見た瞬間に、どうしようもなく、やっぱり好きだって、この人が私は、好きなんだって、気持ちが溢れて...。気づいたら、告白して、た...」
彼女の満身創痍な2度目の告白と、握っている彼女の手が震えているのを見て、乙骨は1度深呼吸をする。「あのね」と切り出すと天井を向いていた瞳が時間をかけて、ようやく乙骨の目を見た。
「確かに気持ちを聞くまで僕は、雪乃さんの事は気の合う同級生としか思ってなかったんだと思う」
「...う、ん」
「でも、気持ちを聞いた後、というかその話を聞いて改めて思った。...雪乃さんが、僕に新しい恋を教えてくれるんだなって」
「...え、?」
「怪我が完治したら、どっか出かけよう。2人で」
「え、と...えっ?」
「ゆっくり、時間をかけて、お互いのことを知っていこう。雪乃さんから、好きって言葉を何度でも聞かせてほしい」
「へ......!?」
乙骨は握った手を自分の心臓まで連れていくと、自身の鼓動を彼女に伝えた。
「最後には僕からもちゃんと言わせて欲しい。君をちゃんと知った上で、きちんと。"好きだ"って」
雪乃はその瞬間、
あぁ、私はやっぱり、彼が好きだと。改めて思った。
◆
◆
◆
_______...数ヶ月後
「パンダ、私乙骨君が好き」
「おー、知ってるぞ。つーか良かったじゃん。怪我治ったあと付き合ったって話聞いたぞ」
「ん?まだ付き合ってないよ」
「えっ」
「乙骨君にね、私が言ったの。怪我のこともあって私まだ完全復帰はしてないし、サポートしか出来てないし?」
「お、おう」
「それに、私の方が好きって気持ち大きいし!」
「はぁ......」
「だから乙骨君には、乙骨君が私の好きを越したら付き合おうって言ったよ」
「...憂太も大変だなぁ」
「でも納得してくれたよ?」
「...憂太も憂太だったかぁ」
今、乙骨君の薬指には里香ちゃんの指輪。そして首には、私があげた指輪付きのネックレスが付いている。
いつか乙骨君が私が想ってる以上に私を好きになってくれその時は、お揃いの指輪を薬指につけたいな、なんて。
「乙骨君!」
「ん?どうしたの?」
「ううん。...好きだなぁと思っただけ」
「ふふ、そっか。...僕も好き」
_______後に彼女は彼から膨大な愛を受けることになるのだが、それはまた別のお話...
それまでは彼にとって私という存在はただの...
そう、
____ただの同じ高専に通う仲間。同級生。それだけだったんだろう
「ねぇパンダ、私ね、乙骨君が好きみたい」
「あー...まぁ、なんとなくそんな感じはしてたな。真希と棘は気づいてないと思うけど」
「パンダって、パンダのくせに人の感情とか心情に敏感だよね。パンダのくせに」
「2回言うなよ...。......で?告白すんの?」
「......しないよ。だって乙骨君の心の中にはまだ、里香ちゃんがいるから。私の入る隙間なんてないし、この気持ちは墓まで持っていくつもりだよ」
「呪術師なんていつ死ぬかもわかんねぇんだし、別に伝えてもいいんじゃねぇの?玉砕覚悟で」
「あはは、パンダもなかなか酷いこと言うなぁ...」
確かにパンダの言う通り、こんな職種だし告白しようとも考えたことはある。
それでも、私はきっとしない。返事が怖いからとかっていうのもあるけれど...
_______告白したくない一番の理由は、嫌われる自信しかないからだ
「だって考えてもみてよ。乙骨君には里香ちゃんって存在がいて、きっとこれからも彼女を忘れる事は出来ないと思うし、優しい彼の事だから今でも想っていると思うの」
そんな彼に私如きの"愛"なんて、ぶつけることなんて出来ない。邪魔にしかならないだろう。
「好きな人がいる人に"好きです"なんて言っても困らせるだけだし、それって迷惑だと思わない?私は思うよ。それにね、別に告白しなくても、私の気持ちを伝えられなくても、いいの。好きだけど、好きって気持ちを知られたくないというか。はは、これって矛盾かなぁ」
だから乙骨君には私のこの醜い気持ちがバレないように。...そっと蓋をするの。
彼の前では"同級生の柊雪乃"でいるって、心に決めたんだから。
「という訳でパンダ。この話も忘れてね。というか貴方にしか言ってないから誰にも言わないでよね」
「へいへい...。なぁ雪乃、最後に1個だけいいか?」
「ん?」
「あんまり自分の気持ちに嘘つくなよー。そのうち本当の気持ちってやつがわからなくなるぞ」
「......うん。わかってる。ありがとうね、パンダ。じゃ、任務行ってくるから」
「おー。気をつけてな」
大丈夫、わかってるよ。
...嘘をつくんじゃなくて、本当の気持ちを隠すだけだから。
わかってる。...わかってる、から。
________その日。派遣先の任務で私は、とある呪霊に出会った。
その呪霊の等級は2級で多少無理をすれば普通に倒せる、そんな相手...なはずだった。
呪霊は私にある幻を見せた。
"それ"が幻と分かったのは事前の資料でそういう術を使う呪霊だと予め認識していた為だ。
これは奴が見せている幻。そう、頭ではちゃんとわかっていた。
「...乙骨君」
そこに立っていたのは紛れもなく私の想い人である乙骨憂太であった。
ただ少し、違うとすれば。
「乙骨君、どうして」
「雪乃さん、好きだよ。君のことが、大好きなんだ」
「違う、それは、違う。違うよ乙骨君。だって貴方は里香ちゃんを忘れられてない。その好意は私に向けられるはずがない、これは幻。幻なら早く、早く覚めて」
「どうして?僕はこんなに君が好きなのに。君も、僕のことが好きでしょ?...だったら両想いで、幸せじゃないか」
彼が満面の笑みで私に愛の言葉を囁く。
_________刹那、私は持参していた呪具で彼の心臓を突き刺す。そこには一切の躊躇いもなかった。
「幻だろうが、私に殺させないでよ...乙骨君」
両目から零れる雫には気づかないフリをして、私は補助監督に任務完了の報告をした。
「あ、お疲れ雪乃さん!任務だったんだね。...顔色悪いけど、大丈夫?」
「...乙骨君」
先程私が心臓を貫いたのは彼ではないのは頭では理解しているのに、気持ちがついていかない。
乙骨君が何か言葉を紡ぐ度にあの幻が言った「好きだよ」が頭に過って胸がドクリと騒ぐ。
あぁ、ダメ。
「乙骨君、私」
それ以上はダメだ、
「私、あなたの事が」
言ってはダメだ______
◆
◆
◆
ピ...ピ...、と静かな部屋で鼓動を知らせる機械音が鳴り響く。
真っ暗な部屋の中で、確かに彼女は息をしていた。
「酷いよね、雪乃さんも」
酷い怪我だった。
家入先生の治療によってなんとか一命は取り留めたものの、彼女の負ったダメージは相当なものであった。家入先生も「ここまで来るのに死んでなかったのが奇跡だったな」と口にしていたくらいだ。本当に危険な状態だったという事は馬鹿な僕でもわかる。
「ねぇ、パンダから話、少し聞いちゃったんだ」
まだ目を覚まさずに眠っている彼女の手をゆっくりと取り、壊れ物を扱うかのようにそっと、でもしっかりと握る。
「勝手に聞いた事は謝るよ。...でも、あの時僕に伝えてくれた言葉の返事をいつまでもさせてくれない雪乃さんもちょっと意地悪だなと思うよ?本当に...」
握り返すことの無い力の入らない手。
けれども、しっかりと生きている。その証拠にこんなにも温度を感じている。それが乙骨にはとても安心できた。
「雪乃さんって結構不器用だよね。あと、里香ちゃんの事をちょっと気にしすぎかなぁ。いや、僕が里香ちゃんを忘れられてない事とか、まだ想ってる部分があるのもそれはそれで確かに否定できないんだけどさ...。でも、さ」
自身の額に彼女の手をくっつける。
両手で握り込み、乙骨は俯いた。
「僕がこれからする恋は、きっと自由だと、思うから」
___だから早く、目を覚まして
僕にもう一度、恋をさせてほしいんだ
「.........お、こつ...くん...?」
「!!!雪乃さん、気がついたの!?っ!家入先生を...」
「ま、って...」
「.........わかった。でも少しだけ。雪乃さんの体が1番大事なんだから、少し話したらすぐに家入先生を呼ぶよ」
「......うん、ありが、と」
繋がれた手にほんの少しだけだが彼女の力が込められる。
「...手、嫌だったら外すけど」と困ったように言えば彼女はぎこちない笑みで「...ううん」と答えた。
「あの、ね。前に、言ったこと、なんだけど」
「...君からの告白のこと、かな」
「.......うん」
か細い彼女の声を一言一句聞き逃さないように、乙骨は腰にかけた椅子を少しだけ前にずらした。雪乃は横目でそれを見るとまた視線を天井へと戻し、ゆっくりと言葉を吐く。
「すき...だよ。乙骨君、貴方が...好き。...本当はね、言うつもり、なかったんだ」
「...うん」
「でも、任務で、私、乙骨君の幻を見て。幻にね、好きって言われて、嘘だってなって」
「僕の幻を見たの?...それで?」
「うん。その、それで。信じられなくて...」
「幻の僕に、好きって言われたことが?」
「......うん。だから、思いっきり、その、心臓目掛けて、呪具ぶっ刺しちゃって」
「幻の僕を殺した後に本物の僕に告白したってこと?」
雪乃は気まずそうに首を縦に振った後、喉奥から絞り出したような声で言った。
「嫌、でしょ。幻とはいっても、私、躊躇いなかったの。なのに、本物の貴方を見た瞬間に、どうしようもなく、やっぱり好きだって、この人が私は、好きなんだって、気持ちが溢れて...。気づいたら、告白して、た...」
彼女の満身創痍な2度目の告白と、握っている彼女の手が震えているのを見て、乙骨は1度深呼吸をする。「あのね」と切り出すと天井を向いていた瞳が時間をかけて、ようやく乙骨の目を見た。
「確かに気持ちを聞くまで僕は、雪乃さんの事は気の合う同級生としか思ってなかったんだと思う」
「...う、ん」
「でも、気持ちを聞いた後、というかその話を聞いて改めて思った。...雪乃さんが、僕に新しい恋を教えてくれるんだなって」
「...え、?」
「怪我が完治したら、どっか出かけよう。2人で」
「え、と...えっ?」
「ゆっくり、時間をかけて、お互いのことを知っていこう。雪乃さんから、好きって言葉を何度でも聞かせてほしい」
「へ......!?」
乙骨は握った手を自分の心臓まで連れていくと、自身の鼓動を彼女に伝えた。
「最後には僕からもちゃんと言わせて欲しい。君をちゃんと知った上で、きちんと。"好きだ"って」
雪乃はその瞬間、
あぁ、私はやっぱり、彼が好きだと。改めて思った。
◆
◆
◆
_______...数ヶ月後
「パンダ、私乙骨君が好き」
「おー、知ってるぞ。つーか良かったじゃん。怪我治ったあと付き合ったって話聞いたぞ」
「ん?まだ付き合ってないよ」
「えっ」
「乙骨君にね、私が言ったの。怪我のこともあって私まだ完全復帰はしてないし、サポートしか出来てないし?」
「お、おう」
「それに、私の方が好きって気持ち大きいし!」
「はぁ......」
「だから乙骨君には、乙骨君が私の好きを越したら付き合おうって言ったよ」
「...憂太も大変だなぁ」
「でも納得してくれたよ?」
「...憂太も憂太だったかぁ」
今、乙骨君の薬指には里香ちゃんの指輪。そして首には、私があげた指輪付きのネックレスが付いている。
いつか乙骨君が私が想ってる以上に私を好きになってくれその時は、お揃いの指輪を薬指につけたいな、なんて。
「乙骨君!」
「ん?どうしたの?」
「ううん。...好きだなぁと思っただけ」
「ふふ、そっか。...僕も好き」
_______後に彼女は彼から膨大な愛を受けることになるのだが、それはまた別のお話...