呪術
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___呪術高専東京校にて
「アンタらその距離感で付き合ってないとかマジ?」
「...?何をそんなに驚いている?」
「別に普通の距離だと思いますけど」
「......え、これ俺が間違ってんのぉ!?」
____呪術高専京都姉妹校交流会という名の野球大会を終えた私たちは故人であったはずの虎杖悠仁に絡まれ...いや、正確には虎杖含む東京校の1年生に話しかけられていた。
最近の1年生はなんというか、口の利き方があまりよろしくないですね。西宮さん風に言うと可愛げがない、でしょうか。
...まぁ、あまり興味もないですし別にそこはどうでもいいのですが。
____さて、先程の件の話に戻ろう。
距離感が近いと言われたことに関してだが、ただ私は加茂に寄りかかってスポーツ後のミネラルウォーターをごくりと飲んでいただけだった。加茂も別に私に寄りかかれられながら読書をしていただけであった。
まず前提として言っておくと、私と加茂はそういう関係ではない。断じて。
照れているとか隠しているからとかそういう訳でもなく本当に付き合っていないし、なんなら"そういう意味"で好きな訳でもない。
恐らく、というか十中八九加茂も同じ言葉を言うだろう。
「いや、普通の人は異性相手に寄りかかって水飲んだりそれを良しとして平気で本読んだりとかしないわよ!絶対付き合ってるだろ!白状しろ巫女服糸目野郎!」
「みこっ...まさか私か!?」
「ふっ...く...加茂しかいませんよ...っ...ふふ...巫女服糸目......ウケる...」
加茂はわかりやすくガーン、と効果音が聞こえるくらい落ち込みながら小声で「私たちが付き合っているかいないか、だったな。答えはノー、だ」と頭を抱えながら律儀に答えていた。加茂、お前のそう言う所良い奴だなって私は思いますよ。
「じゃあ、好きじゃないんですか?お互いのこと」
「お、めずらしーね伏黒もこういう話題入ってくんの!」
「なんだかんだ高校生なのよ伏黒も。むっつりだしな」
「虎杖、釘崎、まじでお前ら黙れ...」
1年生達はわちゃわちゃとしていていいですね、若さを感じます。もう3年生にもなると1年生の頃のピュアさに若干眩しさを覚えますね。隣の加茂もなんだか微笑ましそうです。
さて、お互いのことを好きじゃないか、ですか。
「どうなんです?加茂。私の事好きなんですか?」
「...いや?」
「フッ。との事なので別に私たちはお互いの事を好きではないようですね。わかって頂けましたか伏黒君」
「いやなんでドヤ顔なんすか...」
チラリと加茂は私を見て、「君は?」と問うので私も思ったことをそのまま「私も加茂と同じです。好きでも嫌いでも、という感じですかね」と言い放つ。加茂もうむ、と頷くと、
「フッ、わかってもらえたか。同類の伏黒君」
「いや柊先輩と同じ台詞言わないでくださいよ。あと何度も言ってますけど違いますから」
「......違わない」
「加茂って変な所で天然というか、譲らないですよねえ。」
「ダーーーッ!もう!じゃあなんでお互いに好きじゃないのにあーんな近い距離で平気でいられるのよ!どう見てもカップルだろぉが!!意味わからないわよ!」
「釘崎さん、でしたか。女性の方があまりそんな風にガミガミと怒鳴ってはいけませんよ...?皺ができてしまう」
「あ?ナチュラルに煽りやがって喧嘩なら買うわよ?」
「おや...そのようなつもりは微塵も無かったのですが......。加茂、私は喧嘩を売っていたのでしょうか」
「...わからん」
「ムカつく!ねぇこいつらムカつく!2人揃ってムカつく!」
おやおや...
どうやら私の何気ない言葉のせいで釘崎さんの怒りの炎をさらに強くしてしまったようですねぇ...。え?他人事のように語ってる?
あはは、きっと気の所為ですよ。
「さて、と。質問責めもそろそろ終わりでしょうか。私達はそろそろ京都校へと帰る支度をしに戻らなければなりませんのでこの辺で失礼したいのですが?」
「二度と来んな!」
「まぁ釘崎落ち着けよ。...結局付き合ってないってことなんだよな?」
「えぇ。何度も言う通り、私たちは恋人ではありませんよ」
「そっかぁ」
「虎杖、何納得してんのよ!絶対こいつら付き合ってるって認めさせてやるんだから!覚悟しとけよ糸目巫女服と減らず口!」
「おや、減らず口とはもしかして私の事でしょうか...」
「アンタしかいねぇだろぉが」
「釘崎、一応その人達3年の先輩だからな」
「いや伏黒、一応ってか先輩だろ」
ふふ、本当に1年生って元気がいいんですねぇ。なんだかほっこりしてしまいます。
「では釘崎さん、伏黒君、虎杖君。次、またこちらへ伺う時があれば...その時はまたよろしくお願いしますね」
「世話になったな」
◆
◆
◆
「あ、加茂。せっかく東京にいるので帰る前に新しい新作のス〇バが飲みたいです」
「...それはいいが、新作の度に買ってはハズレを引き私のものと交換するじゃないか」
「もしかしたら今回は当たりかもしれないじゃないですか。さ、行きましょう」
「嫌だと言っても行くのだろう、まったく。仕方の無い」
「......ところで後ろからついてくる気配が2,3...いや4,5程あるんだけれど、無視でいいでしょうかねぇ」
「......好きにしておけ」
おっす!俺、虎杖悠仁!...なんだよ釘崎、え、挨拶ダサい?挨拶にダサさとかあんの!?...まぁそれはそれとして!
俺たちは今、前方にいる加茂先輩と柊先輩をつけている。
______________数分前...
「何がなんでも付き合ってるって認めさせてやる...!その為に尻尾を掴むわよ。虎杖、伏黒、お前らも来い」
「はぁ?俺は絶対にいかな「来い」......チッ...」
「俺は別にいーけど、つけてってどーすんの?盗撮?」
「ばっかお前、盗撮は犯罪だろォが!!!」
「いや後をつけるのもストーカーっていう立派な犯罪だけどな」
「くっ...こうなったら、真希さん達も道連れにして行くわよ!!!」
「いや、あの人たちもそう簡単に来る訳...「呼んだか?」...来んのかよ」
んで、今に戻る。
つか一緒にス〇バ行くって充分カップルじゃね??逆になんで付き合ってないのか不思議に思えてきた...
「...そういえば真依からアイツらの話を少し聞いた事があるんだが」
「やっぱり付き合ってますよね!?!?!?」
「落ち着け野薔薇。...あいつら2人の事、京都校の奴らも公認っつーか、なんなら『...気にしたら負けよ』って言われた」
「はぁぁぁぁ?もういい加減にしろ付き合えよ爆発しろ」
「伏黒〜、釘崎がどんどん壊れてくんだけど」
「...知らん(つーか俺は興味ねぇ!)」
「...!ツナツナ」
狗巻先輩が2人の方向を指さしているのでそっちを見てみる。...が、俺たち全員は目を疑った。
「い、今、あーんしてた?」
「いや、見間違えかもしれねぇ」
流石に付き合ってないならあーんはしねぇよな!と気を取り直してもう一度2人を見る。と今度は柊先輩がドリンクを1口飲んだ後に顔を顰めたかと思ったらそのドリンクを加茂先輩に渡していた。...あ、受け取った先輩が今そのドリンクに口を......って、間接ちゅーじゃん!?
「よし、あれがいい証拠よ。私突撃してくるわ」
「いや突撃してどうするつもりだよ!?てか俺らなんであの2人がカップルかそうじゃないかを確かめるために後つけてんの!?意味あるこれ!?」
「......ねぇな」
「なんかムカつくだろ!明らかにカップルなのに違いますってよぉ!ムカつきますよね真希さん!?」
「クソどうでもいいな」
「しゃけ」
「そんなぁぁぁ」
こうして俺たちは無事にあの2人がくっついてる(?)のを確認し、なんだかよく分からないまま高専へと帰ったのであった。
......いや、ほんと。釘崎じゃねーけど、なんで付き合ってないのあれで...混乱してきた
「...行ったみたいですね。一体なんだったんでしょう。2年生達もいたようですが」
「さぁ、私には何がしたかったのか分からなかったが。...で、やっぱり美味しくなかったんだな、新作は」
「一口で甘さがキャパオーバーしました。加茂の抹茶のやつを代わりに飲んであげるので交換してください」
「まったく...結局いつもこうなる」
「いいじゃないですか。あ、なら私のケーキもう半分あげますよ。はい、あーん」
「ん...。...これはこれで美味しいからいいのだが、私は私の分のケーキと君のケーキ半分、そして君がほぼ残したドリンクを飲まなきゃいけないのだが」
「すごいですね、加茂、今日砂糖になるんじゃないですか?」
「...想像してしまっただろ。やめてくれ」
交換してもらった加茂のドリンクをごくごくと飲みながら東京の外を見る。
東京校の人達はこの関係性に"恋人"という名前をつけたがっていたけれど、私達はこのままが丁度いいし心地いいのだ。
お互いに好きでもないし、嫌いでもない。
この距離感がただただ落ち着く。
呪術師なんていつ死ぬかもわからない仕事をしてる私たちにとって、"好き"という気持ちはきっと邪魔になる。もし私や加茂にそんな気持ちがあったとしたらきっとこんな関係にはなっていなかっただろう。
_____お互いを許して、お互いをわかってるからこそ産まれるこの距離がいいのだと私は思う。
「...?雪乃、ボーッとしてるのならケーキをさっさと食べて欲しいのだが。そろそろ胃がもたれる」
「ふふ、なんでもないですよ。ところで加茂、もしも私が好きだと言ったらどうします?」
「...急だな。いや、そうでもないか。先程から彼らに色々と言われていたからな。...そうだな、」
返事を待つ。
あ、でもごめんね加茂。...私加茂の考えてることわかってしまったかもしれません。
「もし君に好きだと言われたら」
きっと、
「「これからは君(私)のドリンクを飲むことはないだろう(でしょう)」」
「...ふふ、正解でしたね」
「わかっていたのなら聞かなくても良かったんじゃないか?」
「まあ、一応ですよ。一応」
「そうか。一応なら仕方ないな」
フッ、と私たちは笑い合う。
また新作のドリンクが出て、また失敗した時は、加茂のドリンクと交換して...
_______そんな関係が、やっぱり心地いいのだ。
「アンタらその距離感で付き合ってないとかマジ?」
「...?何をそんなに驚いている?」
「別に普通の距離だと思いますけど」
「......え、これ俺が間違ってんのぉ!?」
____呪術高専京都姉妹校交流会という名の野球大会を終えた私たちは故人であったはずの虎杖悠仁に絡まれ...いや、正確には虎杖含む東京校の1年生に話しかけられていた。
最近の1年生はなんというか、口の利き方があまりよろしくないですね。西宮さん風に言うと可愛げがない、でしょうか。
...まぁ、あまり興味もないですし別にそこはどうでもいいのですが。
____さて、先程の件の話に戻ろう。
距離感が近いと言われたことに関してだが、ただ私は加茂に寄りかかってスポーツ後のミネラルウォーターをごくりと飲んでいただけだった。加茂も別に私に寄りかかれられながら読書をしていただけであった。
まず前提として言っておくと、私と加茂はそういう関係ではない。断じて。
照れているとか隠しているからとかそういう訳でもなく本当に付き合っていないし、なんなら"そういう意味"で好きな訳でもない。
恐らく、というか十中八九加茂も同じ言葉を言うだろう。
「いや、普通の人は異性相手に寄りかかって水飲んだりそれを良しとして平気で本読んだりとかしないわよ!絶対付き合ってるだろ!白状しろ巫女服糸目野郎!」
「みこっ...まさか私か!?」
「ふっ...く...加茂しかいませんよ...っ...ふふ...巫女服糸目......ウケる...」
加茂はわかりやすくガーン、と効果音が聞こえるくらい落ち込みながら小声で「私たちが付き合っているかいないか、だったな。答えはノー、だ」と頭を抱えながら律儀に答えていた。加茂、お前のそう言う所良い奴だなって私は思いますよ。
「じゃあ、好きじゃないんですか?お互いのこと」
「お、めずらしーね伏黒もこういう話題入ってくんの!」
「なんだかんだ高校生なのよ伏黒も。むっつりだしな」
「虎杖、釘崎、まじでお前ら黙れ...」
1年生達はわちゃわちゃとしていていいですね、若さを感じます。もう3年生にもなると1年生の頃のピュアさに若干眩しさを覚えますね。隣の加茂もなんだか微笑ましそうです。
さて、お互いのことを好きじゃないか、ですか。
「どうなんです?加茂。私の事好きなんですか?」
「...いや?」
「フッ。との事なので別に私たちはお互いの事を好きではないようですね。わかって頂けましたか伏黒君」
「いやなんでドヤ顔なんすか...」
チラリと加茂は私を見て、「君は?」と問うので私も思ったことをそのまま「私も加茂と同じです。好きでも嫌いでも、という感じですかね」と言い放つ。加茂もうむ、と頷くと、
「フッ、わかってもらえたか。同類の伏黒君」
「いや柊先輩と同じ台詞言わないでくださいよ。あと何度も言ってますけど違いますから」
「......違わない」
「加茂って変な所で天然というか、譲らないですよねえ。」
「ダーーーッ!もう!じゃあなんでお互いに好きじゃないのにあーんな近い距離で平気でいられるのよ!どう見てもカップルだろぉが!!意味わからないわよ!」
「釘崎さん、でしたか。女性の方があまりそんな風にガミガミと怒鳴ってはいけませんよ...?皺ができてしまう」
「あ?ナチュラルに煽りやがって喧嘩なら買うわよ?」
「おや...そのようなつもりは微塵も無かったのですが......。加茂、私は喧嘩を売っていたのでしょうか」
「...わからん」
「ムカつく!ねぇこいつらムカつく!2人揃ってムカつく!」
おやおや...
どうやら私の何気ない言葉のせいで釘崎さんの怒りの炎をさらに強くしてしまったようですねぇ...。え?他人事のように語ってる?
あはは、きっと気の所為ですよ。
「さて、と。質問責めもそろそろ終わりでしょうか。私達はそろそろ京都校へと帰る支度をしに戻らなければなりませんのでこの辺で失礼したいのですが?」
「二度と来んな!」
「まぁ釘崎落ち着けよ。...結局付き合ってないってことなんだよな?」
「えぇ。何度も言う通り、私たちは恋人ではありませんよ」
「そっかぁ」
「虎杖、何納得してんのよ!絶対こいつら付き合ってるって認めさせてやるんだから!覚悟しとけよ糸目巫女服と減らず口!」
「おや、減らず口とはもしかして私の事でしょうか...」
「アンタしかいねぇだろぉが」
「釘崎、一応その人達3年の先輩だからな」
「いや伏黒、一応ってか先輩だろ」
ふふ、本当に1年生って元気がいいんですねぇ。なんだかほっこりしてしまいます。
「では釘崎さん、伏黒君、虎杖君。次、またこちらへ伺う時があれば...その時はまたよろしくお願いしますね」
「世話になったな」
◆
◆
◆
「あ、加茂。せっかく東京にいるので帰る前に新しい新作のス〇バが飲みたいです」
「...それはいいが、新作の度に買ってはハズレを引き私のものと交換するじゃないか」
「もしかしたら今回は当たりかもしれないじゃないですか。さ、行きましょう」
「嫌だと言っても行くのだろう、まったく。仕方の無い」
「......ところで後ろからついてくる気配が2,3...いや4,5程あるんだけれど、無視でいいでしょうかねぇ」
「......好きにしておけ」
おっす!俺、虎杖悠仁!...なんだよ釘崎、え、挨拶ダサい?挨拶にダサさとかあんの!?...まぁそれはそれとして!
俺たちは今、前方にいる加茂先輩と柊先輩をつけている。
______________数分前...
「何がなんでも付き合ってるって認めさせてやる...!その為に尻尾を掴むわよ。虎杖、伏黒、お前らも来い」
「はぁ?俺は絶対にいかな「来い」......チッ...」
「俺は別にいーけど、つけてってどーすんの?盗撮?」
「ばっかお前、盗撮は犯罪だろォが!!!」
「いや後をつけるのもストーカーっていう立派な犯罪だけどな」
「くっ...こうなったら、真希さん達も道連れにして行くわよ!!!」
「いや、あの人たちもそう簡単に来る訳...「呼んだか?」...来んのかよ」
んで、今に戻る。
つか一緒にス〇バ行くって充分カップルじゃね??逆になんで付き合ってないのか不思議に思えてきた...
「...そういえば真依からアイツらの話を少し聞いた事があるんだが」
「やっぱり付き合ってますよね!?!?!?」
「落ち着け野薔薇。...あいつら2人の事、京都校の奴らも公認っつーか、なんなら『...気にしたら負けよ』って言われた」
「はぁぁぁぁ?もういい加減にしろ付き合えよ爆発しろ」
「伏黒〜、釘崎がどんどん壊れてくんだけど」
「...知らん(つーか俺は興味ねぇ!)」
「...!ツナツナ」
狗巻先輩が2人の方向を指さしているのでそっちを見てみる。...が、俺たち全員は目を疑った。
「い、今、あーんしてた?」
「いや、見間違えかもしれねぇ」
流石に付き合ってないならあーんはしねぇよな!と気を取り直してもう一度2人を見る。と今度は柊先輩がドリンクを1口飲んだ後に顔を顰めたかと思ったらそのドリンクを加茂先輩に渡していた。...あ、受け取った先輩が今そのドリンクに口を......って、間接ちゅーじゃん!?
「よし、あれがいい証拠よ。私突撃してくるわ」
「いや突撃してどうするつもりだよ!?てか俺らなんであの2人がカップルかそうじゃないかを確かめるために後つけてんの!?意味あるこれ!?」
「......ねぇな」
「なんかムカつくだろ!明らかにカップルなのに違いますってよぉ!ムカつきますよね真希さん!?」
「クソどうでもいいな」
「しゃけ」
「そんなぁぁぁ」
こうして俺たちは無事にあの2人がくっついてる(?)のを確認し、なんだかよく分からないまま高専へと帰ったのであった。
......いや、ほんと。釘崎じゃねーけど、なんで付き合ってないのあれで...混乱してきた
「...行ったみたいですね。一体なんだったんでしょう。2年生達もいたようですが」
「さぁ、私には何がしたかったのか分からなかったが。...で、やっぱり美味しくなかったんだな、新作は」
「一口で甘さがキャパオーバーしました。加茂の抹茶のやつを代わりに飲んであげるので交換してください」
「まったく...結局いつもこうなる」
「いいじゃないですか。あ、なら私のケーキもう半分あげますよ。はい、あーん」
「ん...。...これはこれで美味しいからいいのだが、私は私の分のケーキと君のケーキ半分、そして君がほぼ残したドリンクを飲まなきゃいけないのだが」
「すごいですね、加茂、今日砂糖になるんじゃないですか?」
「...想像してしまっただろ。やめてくれ」
交換してもらった加茂のドリンクをごくごくと飲みながら東京の外を見る。
東京校の人達はこの関係性に"恋人"という名前をつけたがっていたけれど、私達はこのままが丁度いいし心地いいのだ。
お互いに好きでもないし、嫌いでもない。
この距離感がただただ落ち着く。
呪術師なんていつ死ぬかもわからない仕事をしてる私たちにとって、"好き"という気持ちはきっと邪魔になる。もし私や加茂にそんな気持ちがあったとしたらきっとこんな関係にはなっていなかっただろう。
_____お互いを許して、お互いをわかってるからこそ産まれるこの距離がいいのだと私は思う。
「...?雪乃、ボーッとしてるのならケーキをさっさと食べて欲しいのだが。そろそろ胃がもたれる」
「ふふ、なんでもないですよ。ところで加茂、もしも私が好きだと言ったらどうします?」
「...急だな。いや、そうでもないか。先程から彼らに色々と言われていたからな。...そうだな、」
返事を待つ。
あ、でもごめんね加茂。...私加茂の考えてることわかってしまったかもしれません。
「もし君に好きだと言われたら」
きっと、
「「これからは君(私)のドリンクを飲むことはないだろう(でしょう)」」
「...ふふ、正解でしたね」
「わかっていたのなら聞かなくても良かったんじゃないか?」
「まあ、一応ですよ。一応」
「そうか。一応なら仕方ないな」
フッ、と私たちは笑い合う。
また新作のドリンクが出て、また失敗した時は、加茂のドリンクと交換して...
_______そんな関係が、やっぱり心地いいのだ。