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このスーツ...
アリスだけじゃなくて、基礎的な身体の強度、瞬発力、筋力、その他すべてを著しく上げている。
こんな戦い方していたら...
いつかきっと壊れてしまう...
翔は戦いながら、考える。
いや、こいつを作ったやつは、壊れることなんて気にしちゃいない。
量産型の兵器としか、見ていない...っ
翔も、詩同様に怒りが沸く。
だからといって、どうすることもできない。
手加減が難しい。
半端な力で打撃を与えても、何度でも立ち上がってくる。
その上、あちらは本気で殺しにかかってる。
アリスを結界で封じることができても、油断はできなかった。
バシュッ
ダッダッダッ
ゴフッ
翔へ向けた、5人の連続攻撃が決まる。
翔の腰にあった銃がすべりおちる。
「あっ...」
気づいたときには遅く、金髪の男の子の手にそれは握られる。
銃口はまっすぐ、バランスを崩した翔へ向かっていた。
しかし、その視線のはしで、詩と翔は同時に月をとらえた。
月はまっすぐ銃を構え、金髪の男の子の、左胸を狙っていた。
「月さんっ
だめだっ!!!」
詩が叫び、式神を飛ばした。
月は手元がずれ、放った弾丸は、銃をもつ男の子の胸ではなく手へ当たる。
間一髪、翔は助かった。
そして、男の子も...
月は急いで翔へ駆け寄る。
「大丈夫?」
ああ、と答え翔は体勢を立て直す。
「ありがとう、助かった」
「いえ、私は...」
続きを言わせてはくれない5人のアリス兵たち。
容赦なく、月にも飛び掛かる。
詩は唇を噛み締める。
「詩、何する気だ...っ」
いち早く気づいた翔。
しかし、詩はすでに、クイナの放った式神を避けることなく、すべて自分で受けていた。
「ばかっ....!」
言うが、詩は平気の様子。
容赦ない攻撃は、詩へと吸収されていった。
傷にはならないが、衝撃はあるようで、歯を食いしばる詩。
「クイナ!!
戻ってこーーーい!!!!」
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