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始まった、6人のアリス兵との戦闘。
詩と翔は持ち前の運動神経と連携で、まずは相手の出方を伺う。
戦車相手にあの破壊力...
そして、意思はないにせよ、相手はまだ子どもだ。
先ほど解放した子どもたちが脳裏にちらつき、こちらから攻撃はためらわれた。
ぐわっと強い力で引っ張られる翔。
ぐっとこらえ、風を使ってかわす。
「金髪の男の子、サイコキネシス(念動力)だ!」
一番背の高い子で、一番動きが力強い。
「ぐはっ」
と詩は一旦退く。
「こっちの黒髪はお前と同じ風!
だけど威力はナイフみたいだ」
その男の子が出す風が肩をかすめただけで、血がにじんだ。
「一番右が発火で、その次がテレポートと怪力2つもってる!」
とりあえずもってるアリスを知らないことには、作戦が立てられない。
2人は部屋を駆け回る。
しかし、詩の動きが途端におかしくなることに気づく翔。
目の前の敵が見えてないのか、きょろきょろしだす詩。
幻覚の類か...っ
翔は、ちっと舌打ちし、結界を張る。
「詩、目の前だ!」
はっと幻覚から覚めた詩は、間一髪、風の攻撃を避ける。
しかし今ので、一番危惧していたことが起こる。
ぶわっと舞う式神。
詩が出したものではない。
奥からこちらに向かってくる、少女。
その青い瞳は、とても暗かった。
「クイナちゃん...っまさか...」
そのまさかは的中した。
詩のアリス、式神のアリスをもつのは、ケインの妹、クイナで間違いなかった。
翔の結界に反応していた。
これを恐れ、翔は最初から結界は使わないでいたのだ。
明らかに、ここにいる6人の誰よりも、異才を放っている。
やばい雰囲気だ。
そして、詩は初めて、自分のアリスと対峙することになる。
「詩!
5人は俺がひきつける!
お前はそっちをなんとかしろ!!」
翔の言葉に頷くと、翔は大きな風で少々乱暴だが5人を壁にたたきつける。
「翔っ」
詩は言うが、容赦なく、式神が詩を襲う。
「わかってる!
これ以上手荒な真似はしないから!
お前はそっちに集中しろ!!
お前にしか、相手はできない」
詩は頷いて、クイナの青い瞳を見つめた。
なるべく、詩のいるほうで結界は使いたくない。
詩が使いやすくなるのはいいが、クイナがどこまで詩のアリスを使えるのかは未知数だった。
しかし、5人はただのアリス。
結界の影響は十分に受ける。
このほうが、やりやすかった。
壁に激突した5人は、ひとりずつ立ち上がってくる。
これくらいで気絶はしてくれなさそうだ....
翔もまた、息を吐き、構えなおした。
嫌な、戦いだ____
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