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幼子の胸



突如、施設内に鳴り響くブザー。

同時に、月と通信がつながる。

「詩、コントロールルームに入った」

月の声と共に、銃声が聞こえる。

「こっちはもう少しかかりそう。

一旦切るわ」

月は銃に応戦しているようだった。

「おっけーこっちは任せて」

詩はそう言って、翔と顔を合わせて下に飛び降りる。

突如現れた詩と翔に、兵士たちは驚く。





「侵入者だ!」





それを合図に2人に銃口が向けられ、子どもたちもパニックに陥る。

悲鳴と銃声が鳴り響いた。

「詩..!」

「わかってる!

間違っても子どもに弾丸は当てさせないよ!

ていうか、あっちも子どもには当てたくないみたいだしね」

注意してみると、兵士たちは子どもたちにあてないように慎重に動いている。

「好都合だ」

翔が言い、詩が式神をはなった時だった。






バリバリバリっ






という大きな音共に雷が響く。

詩と翔のいるところを中心に、電気が走ったのだ。

眩しい光があたりをつつみ、やがて目が慣れる。





「なぜだっ」

という声。

詩と翔と、その声の主以外の兵士は皆、そこに倒れていた。





「あーあんたアリスだったんだ」

詩がそういうか言わないか、ザシュッという切れ味のいい音共に、男は倒れた。

「雷か...だいぶ強力だったけど、結界があれば関係ないね」

詩と翔周辺は結界で守られ、範囲外が雷にやられていた。

結界内の兵士はもちろん、詩の式神により倒れる。

「俺たちってばやっぱ最強~」

詩が得意げに言う中、子どもたちは目を見張って驚いていた。





「てか、ここの電力もしかして、こいつ頼みだったのかも...」

翔はつぶやく。

「ああ、確かに強そうだったもんな」

詩はいい、監視カメラが切れてるのを確認する。

「まぁ、相手がわるかったね」

翔はそう言って、兵士の腰にぶらさがっている鍵束を詩に放り投げる。

詩はキャッチして、それを式神たちに運ばせた。

カチャリ、カチャリ、と次々と牢が空いていく。

そこでやっと、子どもたちは自分たちの身に何が起こっているのかわかったらしい。

歓喜と、涙の声が入り混じり、みんな抱き合っていた。






「帰れる...っ」

「家族と会える!」

「パパとママに....早く会いたい...っ」









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