赤髪の転入生
「たしかに俺も静音さんは敵にまわしたくねえなー。
ある意味、櫻野よりも怖いかも。
あ、櫻野にはまだ会ってないんだっけ?」
殿の問いに、詩が代わりにまだだよーあいつ忙しそうだから、と答える。
そこから詩は、自慢の友だちだと言って、櫻野についてきらきらとした目で話し始める。
確かこれ、前もきいたなーと思うも、詩が楽しそうならいいやと、翔は聞き流すのだった。
「まぁでも、それより姫様に目つけられてることのほうが俺は断然嫌だけどな」
殿の言葉に、ん?と首をかしげる翔。
「何お前、姫様のこと話してねーの?」
殿に話をふられ、ぎくっとなる詩。
「詩、もしかしてなんか隠してる?」
翔の問い詰めにより、詩はそっと口を割る。
「だだだって、姫様のこと話したら絶対行きたくなくなるだろー?
まあ、行く前から気分下げるなんてそんなこと....」
「なーに言ってんだよ」
言いながら殿は詩の髪をわしゃわしゃなでつける。
「お前のことだ。
翔の反応みて楽しみたかったとかそんなとこだろ。
お見通しだばーか」
コノヤロ、と翔は詩の胸倉をつかみにかかる。
「だーごめんって!
ちゃんと説明するからっ」
そうこうしていると、「あっ詩!」と、詩を見つけた他の特力メンバーがやってくる。
「お!翼!!
お前ほんとちょうどよかったーっ」
詩は救世主と言わんばかりにその名を呼ぶ。
「わあほんとだったんだ、
詩が連れてきた転入生の話。
ちわっす、俺、安藤翼っす。
アリスは影操り~」
詩の話の中で何度も出てきた人なだけに、初めて会った感じはしなかった。
あいさつも早々に、翼は今話していた話題に興味を示す。
「花姫殿なんて懐かしいなー。
あの変人姫様の女子サロンだろ?
ほら、正月のもっちもっち粉事件とか俺もう冷汗。
男子禁制だから棗とるかぴょん女装しなくちゃいけなくてさ...
マジあの時棗に殺されるとこだったわ」
そこで流れる数秒の沈黙。
ん、俺なんかマズイこと言った?
という翼に、頭を抱える詩。
「翼、おまええ...」
殿は何がおかしいのか、ずっと腹を抱えて笑っている。
ここで翔の頭の中に3つほどワードが並ぶ。
変人姫宮...男子禁制...女装...女装?!
「こら詩お前大事なことだろうがぁああ!!」
追いかけまわす翔に、なのことやら、という翼。
かくかくしかじかと説明する殿。
そこでやっとこっとの顛末を理解した翼だった。
「まぁでも今は詩以外の危力系は普通に出入りしてるみたいだし、女装まではさせられないんじゃないのー?
かけるんーっ」
追いかけっこが落ち着いた2人を見て、翼は言う。
「そうだそうだ。
きっとそう。
まぁ、いざとなったら##NAME1##に頼めばなんとかなるし...
つうかなんだその呼び方」
詩は翼の翔の呼び方につっこみをいれる。
「いいじゃんかけるん。
呼びやすいし」
にっと笑うこの感じ、どこか詩と通ずるものがあるなあと、翔は思った。
「呼び方なんて気にしないよ。
好きに呼んで、それよりも今日は疲れた____」
はぁ、と疲れた様子の翔に殿は心から同情する。
「まぁ翔。
こいつらといるの疲れたら俺を頼れよ。
俺も、お前とは事情は違うけど、この学園に来たのは遅い方。
他の理屈が全く通用しねえ変なとこで、最初は慣れなかったから。
なんかお前の気持ち、わかる気がする。
それと、こいつに振り回される苦労もな」
仕方ねーよなこいつ、と、なんのことやらという顔をした詩を示す殿。
「ま、無理せずだな。
この学園、変な奴いっぱいいるだろうけど俺は普通な方だから」
ぶーぶーと、そんなことないだろーという詩や翼。
しかし、なんだか、理解し合えそうだなと思った。
「なっところで翔今日の夜暇か?」
「え?」
「今日合コンあってさ、お前連れてったらみんな喜ぶと思うんだよ。
ほら、お前けっこう顔モテそうだし。
クールそうなとこも...」
前言撤回、
なんなんだ、この学園は....っ
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