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赤髪の転入生



前代未聞の転入生。

それが、あと半年で卒業を迎える専科2年ときいて、あのアリス学園がざわつかないわけがなかった。






朝。

翔は早くも第一関門に差し掛かっていた。

制服を着てみたはいいものの、ネクタイの結び方がわからないのだ。




「詩、ちょ、これどうやるんだよ....」

翔にしては珍しいもたつく姿。

しかし朝の弱い詩が助けになるはずもなく、部屋を一歩出た先に待ち受けていたのは、人、人、人...





ええっ




これはなんの騒ぎだ?!

自分が話題の的であるとは知らずに慌てる翔。





「うわ、速水の情報ほんとだ」

「専科2年に転入生って、なんでこんな時期に...?」

「もうすぐ卒業だろ」

「まさか、最近アリス発覚したとか?」

「ばか、そんなのきいたことねーよ」

「じゃあなんで...」

「よくしんねえけど、詩が連れてきたらしい」

「詩?!

やっぱあいつのやることってわかんねえなあ」





「ねぇ、イケメンじゃない?」

「ほんとだ、赤い髪、めずらしー」

「姫様の血縁って噂だよ」

「なるほどね、あの顔は納得...」

「あれっネクタイ、結べないのかなー?」

「なにそれ超かわいい...」

「ねぇ、結んであげようか?」

「名前、なんていうの?」

「アリスは?」

「詩くんと友だちってほんと?」






朝から周りを囲まれ、質問攻め。

こんな経験初めてだった。

どうすればいいかとあたふたしていると、奥から眠そうな奴がやってくる。

「おおー

翔ーっ

はよー

お前モテモテだなあ」

ふああっと、伸びをしてのんきに向かってくる詩。




「わぁっ詩くんだ!」

「ほんとだ詩くんがいるーっ」

「ひさしぶりだねーっ」

「おはよう、詩くん!」

「ねぇ、転入生って詩くんの友だちってほんと?」






なんだか、詩はこの学園で人気らしいことがわかった。

詩は、はよー、はよー、ひさしぶりー、と言いながらこちらに向かってくる。






「あっなんだお前、ネクタイも結べねえのー?」

ばかにしたような言い方にむっとするも、小声で「教えろよ」というしかない。

「ったくしょうがねぇなぁ」

詩は慣れた手つきでするするっとネクタイを結んでいる。

結び方を覚えようと夢中になってみていると、こちらにも無数の視線が集中していることに気づく。





び、美男子が、美男子のネクタイを結んでいるーーーーっ

しかも、顔が近い...っ

腐女子たちの目の保養、あふれ出る、BL感...っ







なっなんなんだこの学園ーーーっ!!!






朝から疲労が溜まる翔だった。







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