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課題と道場



南雲は、広い境内を進み、神社の裏手にまわるようだった。

詩はその後ろを、少しの緊張とともについていく。






ふと、気づく。






子どもの...声?





複数の明るい声がきこえ、それは徐々に大きくなってゆく。

そして、大きな神社の裏手。

そこは先ほどよりも大きく開けていた。

さらに広がるのは、村では見かけなかった子どもたちの姿。

幼い子から詩と同じくらいの背丈まで。

男の子から女の子まで。

幅広い年の子どもたちがいた。

奥には木造の校舎のようなものがみえ、その窓からも、子どもたちが顔をのぞかせていた。

先ほどの殺伐とした空気から、一気に解放されたその空間。

みんな、楽しそうにはじける笑顔で笑っていた。

そして、こちらに気づく子どもたち。




「あ、南雲様だ!」

「どこにいってたのー?」

「南雲様!

今日のテスト、満点だったよー!」





きらきらした笑顔で寄ってくる子どもたちに囲まれる、南雲の姿。

それだけで、彼がどれほど慕われているかがわかった。

しかし、その明るい顔も、詩の姿に気づくとぱっと不信感のつのった表情に変わる。






「南雲様...あの人は...?」






それから、詩の後ろの白装束の少年と、少女を見つけ、みんなざわつく。

「南雲様!

そのケガ...大丈夫ですか?」

「紅蘭ちゃんも...!」

「すぐに手当てを...!」

2人のもとへ駆け寄る子どもたち。

いや、それよりも、今なんて...






詩の疑問を察したのか、南雲は言う。

「そいつは、わしの孫じゃ」





詩は、その青年と向き合った。

不思議な感じがした。

何か運命的なものを感じていた。

それがなんなのか、この時ははっきりとわかっていなかった。

一瞬だけ、ちゃんと彼と目が合った気がしたが、すぐにそらされる。






「皆、心配するな。

わしが許可した客人だ」






ざわつく周囲を一瞬にして鎮める南雲。

しかし、詩に向けられる目が厳しいのは変わりなかった。

それでも詩は臆しなかった。







みんなの目が注目する中、詩はいつものように笑った。

先生が、蜜柑の父がいつもそうしてたように...





「俺は、東雲 詩!

みんな、よろしく!」





その笑顔に親近感を覚えるもの、なんだか複雑な気持ちになるもの、やっぱり不信感がぬぐえない者。

たくさんの感情が交差しているのは感じた。

だけど、これからだ。

最初は理解してもらえなくても、きっとわかってもらえる日がくる...

俺たちは決して、敵じゃないから。






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