山の試練
やわらかな光に包まれていた。
温かく、やさしいこの光を、俺は知っている。
傷ついた俺を、癒してくれた力。
とても懐かしいのに、思い出せない。
強く、包み込むようなアリス。
遠くにそのアリスの主がいたが、ぼやけて顔がみえない。
思い出さないと....
俺が、思い出さないと....
思い出したいのに....
なんで君はそんなに遠くにいるんだ...
焦燥感にかられながら、うっすら目をあけると、目の前には狐の面。
ぎょっとするが、身体の節々が痛み、動けない。
「まだ動いちゃだめ...」
鈴のなるような少女の声。
おとなしく、その心地よい声に従った。
「これ、のんで...」
口元に近づけられた水筒からあふれる水を、のどをならしながらあっという間に飲み干す。
「もう大丈夫...」
少女はその場を立って、走り去ろうとする。
「待って...!」
そう言うも、延ばした手は空を切り、再び深い眠りに襲われた。
パタパタと遠ざかる草履の音。
小さな身体と小さな手足。
君は、誰...?
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