抱きしめて
朝日が眩しくて目を覚ました。
身体は、今まで経験したことのない痛みが少しだけあった。
思い出すだけで、恥ずかしくなってしまう。
ああ、私、詩と...
隣には、昨日の男らしさが嘘かのように、子どものようにすやすやと眠る詩。
詩の顔がよくみたくて、その前髪をそっとどけた。
意外とまつげ長いんだな、と思いながら少しの間見つめていた。
しばらくすると、んんっと声を上げもぞもぞし始める詩。
起きたようだ。
その様子も、どこか仔犬のようで笑ってしまう。
「あっ今わらったな」
寝ぼけまなこで言う詩。
「かわいいなって思って」
そう言って、詩の頭をぽんぽんとなでる。
「何言ってんの、昨日の夜は##NAME1##のほうかわいかったよ」
悪戯っぽい笑みを浮かべる詩。
途端に顔が赤くなる##NAME1##。
まだまだ詩のほうが余裕そうで、ちょっとだけ悔しかった。
「どうだった?
昨日...きもちよかった?」
もう!!
##NAME1##は言って、詩にそっぽを向く。
詩はけらけらと笑っている。
「俺は最高だったよん!」
ぼふっと、勢いのまま##NAME1##に抱きつく詩。
「ちょ、っと!!」
そんなふうに、正直にいうから自分のペースが乱される。
「ね?もっかいする?」
「しない!」
「えーなんで?
きもちよくなかった?
それはヘこむなぁ...」
「そ、そういうわけじゃ...ないけど...」
「ないけど...?」
「なんでもないっ」
「えー言ってよーっ」
「言わないっ!」
「ケチ!」
「ケチでいいよもうー」
そんなふうにじゃれていれば、時間はあっというまにすぎていく。
こんな幸せな日々が続けばいいなと思った。
平和で、笑っていられる1日。
詩が、隣にいてくれる毎日...
命を削るアリスなんて....
こんなに詩は良い人なのに...
世の中は不平等だと思った。
だけど、詩は、そんなことで嘆く人じゃなかった。
そんな不平等や理不尽さえもバネして、強さに変えていく人....
神様、どうか詩を連れて行かないでください。
私には祈ることしかできないけど、詩の明るい未来を祈ってます。
どうかその明るい未来に、私も一緒にいられますように。
.