抱きしめて
「##NAME1##...きれいだね」
アリス祭も終盤、落ち着いた音楽が流れる中、各々がその時間を過ごす。
ドレスで着飾った##NAME1##の腰にやさしく手を添える詩。
今日は珍しく、礼装に合わせてしっかり髪の毛をセットしていた。
いつもはあまり見えない瞳が、今日はしっかりと見えた。
見つめ合い、いつもより近い距離にドキドキしていた。
「アリス祭のダンスなんて、中等部のとき##NAME1##と踊ったきりだなぁ...」
思い出して詩は言う。
「ほんとに?」
「嘘いうかよ」
ちなみにラストダンスも##NAME1##としか踊ったことないよ、と詩は笑う。
そんな彼の言葉にまたひとつきゅんとさせられる。
「詩...なんでだろう。
いつもよりかっこいい」
そう、照れて視線を外す##NAME1##が、たまらなく愛しい。
「ありがとう。
##NAME1##のこと考えて、はりきっちゃった」
そうくったくなく笑う彼。
でも、たまに見せる静かなグレーの瞳も、好きだと思った。
ズルい、と思った。
「ごめんね、アリス祭一緒にまわれなくて....
最後だったのに」
申し訳なさそうに言う詩。
2人とも卒業間近。
思い出をたくさん作ろうと約束していた。
「あやまらないで。
何よりも、詩のアリスが戻ってほんとによかったって思ってる」
心からの言葉に、詩は救われる。
「それにね、詩が急にいなくなっちゃうのにも慣れたし」
少しだけ、いじけているのが伝わる。
「いや、それはほんとに....」
あたふたする詩に、##NAME1##はしてやったりの顔。
「でも、ちゃんと戻ってきてくれる。
こうやって...」
音楽に合わせて、くるっとまわった##NAME1##。
本当に、天使のようだと思った。
ぎゅっ....
くるっとまわったその天使を、どこにも行かないようにと抱き寄せる。
「ちょっ...と、詩...?!」
##NAME1##は驚くも、詩から返事はなく、かわりにもっと強く強く、抱きしめられる。
もう、まわりが見ているとか、そんなの関係なかった。
言葉がなくてもわかった。
##NAME1##もふっと力を抜いて、その胸の中に身を委ねた。
「俺は、##NAME1##のこと、離さないから。
どこにいても、ちゃんと戻ってくるから。
だから...今度こそちゃんと言う。
俺の...彼女になって」
やっと、やっと言えたその一言。
言葉にするのが怖くて、自信がなくて、約束を守れなくなる時がきたらどうしようって....
でも、こうやって信じて待っててくれたんだ。
もう、悲しませない。
ずっと、笑顔にさせるんだ...
「うん....ずっとずっと待ってた。
たくさん悩んで苦しかったよね...
もう大丈夫...詩の心、私が守るから」
アリス学園、恋の三大イベント。
残すはラスト一曲だ____
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