このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

抱きしめて



「##NAME1##...きれいだね」






アリス祭も終盤、落ち着いた音楽が流れる中、各々がその時間を過ごす。

ドレスで着飾った##NAME1##の腰にやさしく手を添える詩。

今日は珍しく、礼装に合わせてしっかり髪の毛をセットしていた。

いつもはあまり見えない瞳が、今日はしっかりと見えた。

見つめ合い、いつもより近い距離にドキドキしていた。





「アリス祭のダンスなんて、中等部のとき##NAME1##と踊ったきりだなぁ...」

思い出して詩は言う。

「ほんとに?」

「嘘いうかよ」

ちなみにラストダンスも##NAME1##としか踊ったことないよ、と詩は笑う。

そんな彼の言葉にまたひとつきゅんとさせられる。







「詩...なんでだろう。

いつもよりかっこいい」

そう、照れて視線を外す##NAME1##が、たまらなく愛しい。

「ありがとう。

##NAME1##のこと考えて、はりきっちゃった」

そうくったくなく笑う彼。

でも、たまに見せる静かなグレーの瞳も、好きだと思った。

ズルい、と思った。





「ごめんね、アリス祭一緒にまわれなくて....

最後だったのに」

申し訳なさそうに言う詩。

2人とも卒業間近。

思い出をたくさん作ろうと約束していた。

「あやまらないで。

何よりも、詩のアリスが戻ってほんとによかったって思ってる」

心からの言葉に、詩は救われる。

「それにね、詩が急にいなくなっちゃうのにも慣れたし」

少しだけ、いじけているのが伝わる。

「いや、それはほんとに....」

あたふたする詩に、##NAME1##はしてやったりの顔。

「でも、ちゃんと戻ってきてくれる。

こうやって...」

音楽に合わせて、くるっとまわった##NAME1##。

本当に、天使のようだと思った。





ぎゅっ....





くるっとまわったその天使を、どこにも行かないようにと抱き寄せる。

「ちょっ...と、詩...?!」

##NAME1##は驚くも、詩から返事はなく、かわりにもっと強く強く、抱きしめられる。

もう、まわりが見ているとか、そんなの関係なかった。

言葉がなくてもわかった。

##NAME1##もふっと力を抜いて、その胸の中に身を委ねた。





「俺は、##NAME1##のこと、離さないから。

どこにいても、ちゃんと戻ってくるから。

だから...今度こそちゃんと言う。

俺の...彼女になって」





やっと、やっと言えたその一言。

言葉にするのが怖くて、自信がなくて、約束を守れなくなる時がきたらどうしようって....

でも、こうやって信じて待っててくれたんだ。

もう、悲しませない。

ずっと、笑顔にさせるんだ...





「うん....ずっとずっと待ってた。

たくさん悩んで苦しかったよね...

もう大丈夫...詩の心、私が守るから」





アリス学園、恋の三大イベント。

残すはラスト一曲だ____






.
2/4ページ
スキ