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何が視える





「近くあり

知らせは来たる

待つが好し

赤髪の獅子

道しるべなり」






....





「はぁーーー?!」

どういう意味じゃこらぁ!!!

自分の偏差値を棚にあげ、キレる詩。

「おい、見苦しいぞ...

でも、これはどう解釈したらいいのか」

翔も考えるが、案内係が現実に引き戻す。

「はい、お時間終了ですー。

さっ待ってる人がいるので次、次ーっ。

タンカくん次もよろしくねーっ」

色紙とにらめっこする詩を追い出そうとする係の生徒。

「意味説明しろーこらぁ!!

いんちきやろーーーっ!!」

そう、詩が叫んだのに対し、ぴくりと反応する占いのアリス。

ふぁさっとフードをとり、詩に向き直る。

「い、インチキなんかじゃない!!

確かに、僕には視えたんだっ

こうなんか、ぐわぁって!!」

ぐわって...

翔はなんとなく、詩と同じ匂いがするなと思う。

「だぁかぁら、それを説明しろって!!」

「できたらしてるよ!!

僕にだってその意味は解釈しきれないんだ!!

歌を詠んでるときの記憶はないんだ!!

でも、今まで一番、視えた....気がしたんだっ」

消え入りそうな、でもしっかりとした声。

「それはたぶん、2人が本当に強く思ったからで...

そういう時の僕の占いは、アリスは絶対あたるんだっ!!」

おそらく中等部生だろう...

背も小さく年下だが、この言葉に嘘はないと、あの詩でさえ圧倒されていた。





「今までの傾向...それくらいなら言える。

でもその解釈が100%あってるとは限らないから僕は、詠んだ人(占った人)に、その解釈を委ねてるんだ。

だから...」

その中等部生はいいかけて、はっとする。

目の前で、あの、東雲詩が頭を下げていた。

自分のアリスをインチキだと言われ、つい熱くなってあの学園一の人気者を敵に回し、自分の学園生活は終わったかと思っていた。

だが、確信に変わる____






僕の、僕の平穏な学園生活が終わったーーーーっっ!!!





占いのアリスは頭を抱える。

正気を失ったとはいえ、これはやばい。

なんで?

なんであの東雲詩が僕に頭を下げている...?




パニック状態の彼を冷静にみる翔。

そして、頭をあげ、目をまっすぐにみる詩。




え、待って、僕、睨まれてる?睨まれてるーーーっ??




「お願いだ。

教えてくれ。

どんな手掛かりでもいいんだ。

どんな可能性でもいい。

かけてみたいんだ....

俺たちが探しているのは、お前が言った通り、本当に、大切なものなんだっ

さっき、インチキとか言ったのは謝る。

だから、お願いだっ」

「俺も、教えてほしい...」

静かな翔の言葉に、すっと正気を取り戻す占いのアリス。





「歌のとおり、待つのが最善です。

本当に、近くにあるんだと思います。

いつもは視えないのに、ただ勝手に筆が進むだけなのに、少しだけ、視えた気がした...

それくらい近くにあると思うんです。

それと、もし探しているものが複数ならば、この歌が指し示す、赤髪の獅子...」

ちらりと翔を見る。

「その人と行動をともにするとか、その人がすでに場所を知っているとか、そういうことだと....

道しるべは、そう言う意味です。

それと...もう一首、詠んでみてもいいですか?

今ならもっとその先まで、視える気がするんです。

あまりにも強い思いだったから、僕が気圧されたのは事実です。

どうか続きを、詠ませてください...」

今度は、占いのアリスが頭を下げる。




「ああ、頼む」

詩はその思いを受け取り、強く頷いた。






「ええ?ちょっとタンカくん?

次の時間が...」

そんな係の生徒の声は、今は誰にも届かない。





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