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何が視える



「ところで、2人は占いの館、もう行ってきたの?」

そのセリーナ先生の言葉に、詩はああ!!と声をあげる。

「俺たち並んでたんだった!!

でもセリーナ先生見つけてつい走ってきちゃって...」

予想はしていたが、本当に何も考えてなかったんだ、こいつ...

と呆れる翔。

さらに、占いの館の列は伸びていた。

絶望と共に詩になんて言って諦めさせようか考える。

セリーナ先生はその様子に、可笑しそうに笑う。





「まだなら、裏口から案内するわ。

今回だけ、特別にね」

しーっと、人差し指を唇にあてるセリーナ先生。

「えっそんなこと、いいのか!!」

詩は、一気にテンションが上がっていた。

「茉妃留の話が聞けたし、南雲様のお孫さん、翔くんにも会えたから....

他の生徒には内緒よ」

ウィンクするセリーナ先生に、もちろん!と詩は言う。

そうして、お言葉に甘えさせてもらうことになった。





裏口から入り、セリーナ先生に続き奥へとすすむ2人。

「なぁ、セリーナ先生が占ってくれるのか?」

詩の問いに首をふる。

「占うのは生徒たちよ」

えーなんだよー、と少し残念がる詩。

「私は占いというよりはモノを視る力だから...

それに、こういうのってあまり近くない、面識がないほうが当たるのよ」

「へぇーそういうもんなのか」

「私の生徒たちも優秀だから、楽しめると思うわ。

さ、この奥よ。

話は通してあるからいってらっしゃい」

そう、笑顔で見送るセリーナ先生。

「ありがとう!セリーナ先生!!」

詩は笑顔で手を振るのだった。

翔も軽く会釈して、詩について行った。






「なんかワクワクすんな!」

詩は終始落ち着かない様子。

「なぁ、翔は何占ってもらう?」

「いや...俺は別に...」

「そうだよなぁ、迷うよなあ。

お金持ちにもなりたいし、旅行行くならどこ行った方いいとか気になる!

あとはあとは...」

言いながら、渡されたパンフレットに目を通す詩。

そこには占ってほしい項目が列挙され、そこからひとつ選べるらしかった。

お金、恋愛、健康、学業....などなど。

様々あったが、詩があっと目を止めた項目があった。




“探し物”




横にいる詩の目が、すぅっと真剣な目つきになった。

「これでいいじゃん。

きまり。

すいません、“探し物”でお願いします」

詩がいうより早く、翔は案内係に伝える。

「あっちょっと翔!

まだ悩んでたのに勝手に!!」

「だって一番気になってることなんだろ。

それに、これに関しては珍しく俺もお前と同じだからな」

あっと、納得せざるを得ない詩。

翔のその決意の満ちた目を隣で盗み見るのだった。

そんなこんなで、「はいはい、立ち止まらないで―すすんでー」と促され、あっという間に自分たちの番がくる。






通された小さな部屋。

魔法使いのようなローブの衣装を着た生徒が中心のテーブルに座っていた。

そう言う部屋がいくつかあるらしく、そのうちのひとつ、詩と翔は案内された。





「ええっと、ここは探し物を見つける部屋。

担当する魔法使い(アリス)は、あなたの探し物を“短歌”で導き出します....?」





短歌...?







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