何が視える
パン...パンっ
パン...パパァンっ
体質系の奏でる音楽と共に、潜在系の幻覚玉が空へと打ちあがる。
技術系の総力を結集したアリス祭限りの豪華な特設ステージ。
そしてそれらに一番魅了され、テンションのあがっている....特力系。
「うひょーーーっ」
「やべぇ!!」
「アリス祭のクオリティー毎年あがっていってね?」
「みろよ!光った!!」
「あれ、どうなってんだ?!」
「やっぱ、アリスってすげぇぇええ」
あいつらにはプライドってものがないのか...
アリス祭の開会式に携わらせてもらえていないというのに....
なんであんなに明るいんだ.....
他のクラスがそう冷ややかな視線を送っても特力はおかまいなし。
アリス祭を心待ちにしていたのには、変わりないのだから。
特力が周りから蔑視されるのなんて、今日に限ったことじゃない。
自分たちのアリスはこの学園のなかじゃ日の当たらないもの。
他のクラスと比べて、派手なものでもないし、みんながみんな、役に立つものとは限らず、いまいち使いどころを見いだせないもの...
残り物の寄せ集め、変人ばかり集まる落ちこぼれクラス、なんて呼ばれている。
でも、だからといって腐っていては仕方ない。
今ある環境で精いっぱいできることやって、思いっきり楽しむ。
あの、太陽のように明るい少女がそう、教えてくれた...
そして、今回は....詩もいる!
「うわぁ!!
すっげぇ!!
俺、ちゃんとアリス祭の開会式みたの何年ぶりだー??
やっぱすげぇなアリス!!
魔法みたい!!
翔!!みたか今の!!」
誰よりもはしゃぐ詩。
翔も翔で圧倒されていたものの、隣でこうもはしゃがれては冷静になる。
「おまえ、去年もおととしもいなかったもんなぁ」
「俺なんか10回くらいみてるから毎年感動はうすれていくよな...」
殿と翼はそう、落ち着いて言った。
確かに、高等部生ともなれば詩のようにはしゃぐ生徒は見当たらない。
はしゃいでいるのはだいたい初等部とか中等部くらいか...
翔は見渡して、思うのだった。
「よっし翔、潜在系エリアいくぞ!
お前に会わせたいやつがいるからなっ」
開会式が終わるとそうそうに、詩は翔の意思関係なくその腕を引っ張る。
「ちょ、詩...っ」
いつも勝手だな、と思いつつ仕方なくついていく。
到着した潜在系エリア。
特力の準備もみんな必死に頑張ったが、生徒数やそのアリスの汎用性で勝る潜在系エリアには敵わない。
そう思わざるをえない、できばえ。
まるで一つの街のような完成度に、翔は息をのむ。
能力と言って思い浮かぶような王道なアリスはすべてこのクラスなのだから仕方ない。
そんなここで、詩が会わせたい人物とは...
そう思ったときだった。
「Excuse me...」
いきなり、外国語で話しかけられた2人。
海外の要人も訪れるのがアリス祭。
外国人がいてもおかしくはない。
「えっえっ?!
ワッツワッツ!!
アップル?パイナポー??」
詩は完全にパニック状態。
こいつの勉強のできなさはあなどれない。
そんな詩を下がらせ、簡単な英語を話す。
詩は口をパクパクさせてみている。
「おっお前、天才かよーっ!!」
「こんなの、常識だから。
それより、技術系エリア行きたいんだって。
どう行くかわかる?」
「あ?
んなのびゅーんっていってふぁっといってがっと曲がる!!
簡単だろ」
「は?」
「だからびゅーんっていってふぁっといっ」
「ああもういい!
お前にきいたのが間違いだった!」
小学生からやり直せっと言ってやってから、外国人に向き直る。
「Sorry...I don't know...but」
詩が後ろでぶーぶー言ってる中、案内所を教えてあげようと、説明しようとしたところだった。
「(英)失礼。技術系エリアならあっちですよ。
あの赤い屋根の建物を目印に進んで右に曲がればみえてくるはずです」
とても流暢な英語。
助かった、と思ったのと同時に詩の顔がぱっと明るくなった。
「秀!!」
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