相性
「どうしましたか?
殿内君
何だか顔色が.....」
ふと、のだっちがそう言った時だった。
「みなさん!追手が!」
五島が慌てた声で言った。
それに一番に反応したのは詩と棗。
やはり、だてに任務を続けてきたわけではない。
その反応ははやかった。
すぐにアリスを発動させ、風紀隊との間合いをとる。
詩は式神で相手の視界を遮る。
うかつに触れれば、皮膚はさけるであろう、その式神の鋭さとスピード。
棗の方は炎の壁をつくる。
それらを見た翼とのばらも加勢する。
「逃げろ、蜜柑!
テレポートを使えっ
.....ここは、そうだな.......
翼と俺でやる」
詩はいつになく真剣な表情で言った。
「おい、俺もここに....っ」
棗が言うが
「お前は蜜柑のそばにいろ
攻撃系のアリスがみんなここに残ってどうする?
さっきも言ったろ
俺あんまテレポート自信ねぇーんだよ
あとで逃げるとして、翼と俺の2人で限界だ。
はやく行け!」
「でも、詩せんぱ...」
そんな蜜柑の声に重なるようにして、
「―翼、敵を一箇所にまとめてくれ」
何を思ったのか、いきなり殿が言い出す。
「え!?」
「殿っ!?」
翼と詩は驚き戸惑う。
「野田先生っ
お願いします
敵を一斉に、タイムトリップで時空へ連れてって下さい.......っ」
詩だけがはっとしていた。
「タイムトリップで敵を時空に足止めを......
お願いします、野田先生」
「詩と翼!
お前らのアリスで敵を一箇所に....っ」
「待てよ殿......
何考えてんだアンタ
のだっちに入ったお前のアリスで、
のだっちが回復したからって
のだっちだけ行かせたりしたら」
そんな翼の声も無視し、殿はのだっちに向かって言う。
「野田先生、
お願いします」
殿は苦しそうな表情だった。
「....分かりました」
その声を聞いた詩は、式神を操り敵を一箇所に集める。
「何でだよのだっち!?
詩まで.....っ」
翼は納得いっていない。
だけどのだっちは、
「翼君、殿内君、詩君
皆さんをよろしくお願いします
.....佐倉さん、必ず柚香さんと親子の再会を....っ
お2人できっと......っ」
そう言って、アリスを使いその場から追手と共に消えた。
「のだっち......っ」
蜜柑の声が、部屋に空しく響いた。
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