戦況/久しぶりの影
in 花姫殿。
「何じゃその粗大ゴミは...」
姫様がそう、嫌なものを見る目で言ったのはつい先ほどのこと。
今花姫殿には、颯が1人取り残されていた。
「よし...いくかー....」
「どこに戻られるおつもり?」
おもむろに立ち上がった颯に、かきつばたが問う。
「まー
俺の裏切り行為は上に伝わってるだろうし........
どこに行っても捕まるんじゃないねーかな」
「じゃあ....罰則を受けてあちら側にお戻りになるの?」
「まー罰則なんて痛くもかゆくもねーけどさー...........いたいけど。
でも......この先任務とはいえ俺........
クールブルースカイを傷つけるなんてやだし...........
詩兄と戦うなんてことになんのもやだし.....
逆らったらどーなっかわかんねーけど
戻るとこ他にねーし
......あんなとこだけど詩兄がくれた居場所だから.......
今回のケジメはやっぱつけねーと....
俺が行かなきゃ代わりに仲間がキツイ目にあわされっからさ........
イヤな奴らだけどさすがにそれはなー....
じゃ......」
そう言って立ち去るのもつかの間.....
かきつばたが何を思ったのか、颯をフォローする。
相変わらず毒舌だが、詩の姿も脳裏にちらつき、颯をもう少し花姫殿へと置くことを姫様に頼み込んだのだった。
そんな中だった。
陽一が現れたのは.......
「.......裏切り者とな....?」
「―本当なのかよーいち!?」
また一段と花姫殿は騒がしくなる。
陽一が、初等部B組のみんなに託された、知らせなければいけないことを話したのだった。
「.....とりあえず、詩は無事なのか」
颯は安堵したように言った。
姫様はかきつばたや花姫たちが戸惑う中、その喧騒を静かに聞いていた。
そして、口を開く。
「そなたら
わらわが結界を張ってやるゆえ、
あの者ら.....
蜜柑の君たちの加勢に行ってやるがよい
菫の君のことも、よろしゅう.......」
これにはかきつばたが驚く。
「罪なき者や大事な者たちの
命の花が無残に散る様を見るのは
もうごめんじゃ......」
姫様は何かを思い出してるかのように、悲しみのこもった目で言った。
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