歓迎/お気に入り
―殿せんぱい、最近詩せんぱいのこと見かけへんのやけど、どこ行ってるの?
蜜柑の頭の中に、翼のことが思い浮かぶ。
それを察した殿は、詩ならこうするだろうと、笑ってわけを話す。
―多分、あいつは長期任務。
―長期任務?
―年に1回くらいあんだよ、詩は。
期間は1ヶ月のときもあったり、半年くらいのときもあったりで、その任務内容にによるんだけどさ。
それでも蜜柑はまだ不安げな表情。
やはり、まだ翼のことで尾を引かれているようだ。
―でも、詩先輩何もゆうてなかったやん!
こないだまで、普通にしゃべってたし.....
―そうだなー....でも、それが詩なんだよ
蜜柑が首を傾げる。
―詩は長期任務のこと誰にも言わねーよ。
俺にだって。
突然行っちゃうんだ。
一言くらい何か言ってくれてもいいよな。
でも、さ....
.....詩の気持ち、わからなくもないだろ?
殿先輩は、なんだか寂しげに笑った。
それを聞かされた蜜柑ももちろん、寂しくなった。
「蜜柑ちゃんが!?」
鳴海の声は、職員室中に響いた。
しかし、そんなことは気にせず、鳴海はすぐに職員室を出て行った。
たった今入った情報によると、
佐倉蜜柑が風紀隊に理不尽な理由で、初校長のもとへ連れて行かれた、ということ。
鳴海の表情は険しくなっていった。
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