残酷な現実
「おい詩...
お前最近、何やってるんだ?」
本部の廊下で対峙してるのは鳴海。
「べつに。
おまえにかんけーないだろ」
俺は、その場から去ろうとする。
しかし、それを阻まれる。
「お前、もしかして何か知ってるのか?
先生のことでも、
柚香先輩のことでも、
初校長のことでも......」
「....しらない。
そこどけよ」
「お前が話す気ねーならいいよ」
―ぶわっ
鳴海のまわりに、フェロモンが漂う。
―シャッ
と式神を出して間合いをとり、
詩はぱっと飛びのく。
「なにすんだよ」
詩は鳴海を睨みつける。
「最近お前、どうしたんだよ。
本部うろついちゃって。
それも自分から初校長に会いに行ったって、正気か?」
「正気だよ。
おまえだってさいきん、ゆかがいなくなってからへんだろ。
とくりょくにもこなくなったし、みんなたいするたいども!」
「....っ
うるせーよ」
チッと舌打ちし、鳴海はその場から去っていった。
知ってる。
鳴海が俺のことを心配して言ってくれたことも。
同じようにこの現実を受け止めようと苦しんでいることも。
でも、最近の鳴海だって変だった。
同じ特別生徒の後輩、レオとつるんでいて、いい噂なんか聞かない。
特力でも、鳴海を敬遠する雰囲気になりつつあった。
あいつらしくない。
柚香がいなくなってから、こんなに変わっちゃうなんて。
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