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残酷な現実



―安積柚香が初校長を襲って重症のケガを負わせ、学園を脱走した。

そんな噂は、先生の死の知らせのときと同じくらい早く、学園中に広がった。

それを聞いた時は、驚きと戸惑いで信じられなかった。

でもすぐに、察しがついた。

柚香も自分の見た事実を知ったんじゃないかと。

結局、みたことは誰にも言わないことにして、心の奥底にしまいこんだ。






強くなりたい。

先生が自分を救ってくれたように、自分もここでみんなを救えるようになりたい。

今は無理だとしても、絶対強くなる。

誰かを守れるようになるくらい、強く。

先生のように、強く、温かく、みんなを包み込めるように。

先生がくれた居場所と家族。

それを守るためなら、どんなことだってする。

先生のように、すべてを投げ打ってでも。

先生の意志を受け継ぎたい。

先生が生きた証を、決して無駄にはしたくない。

先生はずっと生き続ける。

俺の中で、ずっと。

俺が勇気を出すとき、きっと先生は背中を押してくれるだろう。

それが俺の大きな力になると思うから。

先生ができなかったことを、きっと俺は果たす。

それは先生の無念の、最後をみた自分だからできること。

あの強い目を忘れない。

そして初校長を、絶対に許さない。

思い通りにはさせない、絶対に.....

先生が教えてくれたこと、先生にもらったもの、全部全部忘れない。

全部全部大切にしよう。

だから、天国で見守っててください。

今に、先生に追いつけるくらいに強くなってみせるから。

先生のように、誰かを守ってみせるから。








大きな大きな決心をして、

先生の思いを胸に、踏み出そう。

俺はこの学園で生きていく。

たくさんの仲間であり、家族である存在と共に。

決して、たくさんの光を濁らせない。

向き合おう。

現実と、自分と、アリスに。

もう逃げたりしない。

目を背けたりしない。

弱い自分と、さよならだ.....

青空に向かって手を伸ばす。

太陽はつかめそうでつかめない、遠いもの。

でもそれは、いつも僕らを照らし、見守ってくれてる。

柚香先輩、どうか元気で.......

先輩のような生徒をもう二度と、この学園から出しません。

だからどうか、無事でいてください。

太陽はいつも、僕らみんなのそばにあり続けるから____






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