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残酷な現実



「先生が自殺だなんてうそよ....

理由もいわず事故なんて..........

そんなのありえない.....っ」

まだ先生の面影を探していた俺は、特力の教室に来ていた。

そこには先客がいた。

柚香と鳴海と志貴だった。

柚香は泣いていて、それを鳴海が慰めていた。

特力のタイムトリップのアリスの人が行方不明という話も聞こえた。

言わなきゃ......

先生は.......

先生は自殺なんかじゃないって.....

見たことを伝えなきゃ、言わなきゃ......






そう思ったけど、できなかった。

弱い自分には、できなかった。

柚香の悲しみも辛さも全部全部わかる。

だけどそれでも、先生が死んだという事実を自分の口から告げるのは怖くて怖くて......

この目ですべてを見たのに、まだ信じられなくて。

胸が苦しくてはちきれそうで.......

気がついたら、その場から逃げ出していた。

先生はまだいる.......!

どこかにいるんだ。

隠れているだけだ!

探せば見つかるんだ!







辛い現実から目をそむけ、逃げ出した。








この頃の俺は、幼かった。

幼さゆえに、弱かった。

小さなひとつの心で、抱えきれるものではなかった。

それから学園を走り回ったけど、探している人物はもちろん、どこにもいなかった。

途方にくれていた僕の前に、あいつらが現れた。

「詩....みんなさがしてたぞ」

「秀.....

昴.....」

2人の目は赤く腫れており、自分と同じように泣いたのだとわかった。

「いくぞ....」

2人が、手を差し伸べてきた。

それは、こんな時だからか、一筋の光のようにみえた。

自分の生きていく学園には、この辛さを共に乗り越える仲間がいるということを、気づかされた瞬間だった。

共に辛さも喜びも分かち合える仲間をくれたのは、先生だった。

先生がくれたものがあるんだから、乗り越えなければいけない。

いつまでも、うじうじなんて、してられない。

詩は2人の手をとった。

たった一人になったわけじゃない。

先生が残してくれたものは確かに両手に抱えきれないくらいあって、何度でも自分を温めてくれる。

こいつらと、乗り越えたい。

先生の代わりに、自分のできることをやるんだ_________




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