仲間がいること
「先生、その子達は?」
「ああ、今俺が受け持ってるクラスの奴らで
櫻野秀一6歳と、今井昴6歳」
先生の足にひっついて、何やら言い合いしている2人。
「あ....
この子は」
思い出して呟く。
1年ほど前に、詩の暴走をとめてくれた子.....
「思い出したか?」
「うん」
その思い出したついでに、気になっている事も思い出した。
「そういえば、最近詩のこと特力で見ないけど......どうかしたの?」
「....詩は謹慎処分中」
「え...」
「あいつまたアリス使ってな....
実はあのときから、大人しくなったってわけじゃないんだ。
ここ1年間で数回、アリスを使ってケガを負わせる問題を起こしてたんだ。
まあ、あの時よりはだいぶましだけどな。
俺の言う事はなんだかんだ言ってちゃんと聞くようになったし。
それでもまだ感情に任せて、アリスを使ってしまうとこがあってな。
ただの6歳児の喧嘩でもアリスが関わるとややこしくなるんだ。
で、今回は謹慎処分」
先生はやるせなさそうな顔をする。
「少し厳しいかもしれないけど、詩のためだ。
とうの本人はちゃんと反省してるんだけど、初校長は何かと口実をつけて、詩のアリスを手元に置こうとしている。
こちらはまだ、精神的に不安定という理由で断り続けてるけど。
かくゆうこいつらも、早速目つけられてるよ
特に珍しいアリスってわけでもないんだけど
詩同様、2人ともこの年で力は相当でな」
先生は溜息をつきながら、いまだ言い争いを続ける2人を見つめた。
「仲悪くてなーこいつら
あ、でも詩はこいつらとだけはまともにつるんでるよ。
詩に友だちができてよかった」
先生の目は、優しかった。
「.....させないよ
この子達はあんな目にあわさせない。
もちろん、詩も。
大丈夫だよ。
先生だけじゃなく、あたしもこの子達を守るから
どこにいてもきっと、あんた達…みんなのこと、
守ってみせる
だから心配しないで
笑って」
この先の道で、あたしにできる最善の事
みんなに守られてきた、過去の道
これからは守ってゆく
それが私の未来への道…
そう思えば何も怖くない
どんな道でも、きっと歩いていける
この子たちが笑っていてくれるなら
それが暗闇の中の光になるから……
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