憎めない奴(殿内side)
詩は、新たな決意の証として、中等部へ進級と同時に髪の色を変えた。
髪の色を変えただけで、新しい自分になれた気がした。
自分のアリスと向き合えなかった弱い自分にはもう戻らない。
守られるんじゃなくて、先生みたいに、大切なものを守れるようになりたい。
誰かを守れるくらい強く、強く。
目の前の現実から逃げずに立ち向かう強さがほしい。
先生のくれた居場所と、家族の存在の温かさを噛みしめて。
もう1人じゃない。
それがわかったから、俺は変わる。
この風になびく、ミルクティー色の髪に誓って。
ジュースがあんまり好きじゃない、今時珍しい子どもに、先生はいつもミルクティーをおごってくれた。
この髪にしてると、なんだかどこかからかあの時のミルクティーの懐かしい香りが漂ってくるようだった。
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