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家族/唯一のつながり



in時空間。





「....」





詩の、幼い頃の境遇をみた後、しばらく誰も言葉を発せないでいた。

そんな時、最初に口を開いたのはのだっちだった。

「詩くんはきっと、家族に対して強い思い入れがあるんですね。

一度は見失ってしまった存在を、先生は学園でもう一度取り戻させてくれた。

だからこそ、詩くんは学園のことに必死なんですね。

自分の家族を守りたいという、誰もがもつその思いを詩くんが向けたのは、この学園なんですね」

詩の学園へ向けた強い思いが皆、分かった気がした。






―この学園のみんなが家族だよ

それを守るためなら.....








口癖のように言っていた、その言葉の奥に秘められた思いが、皆の胸に染みていく瞬間だった。

「詩先輩も、おじいさんと暮らしてたんやなー…」

蜜柑は、自分の祖父のことを思い出し、少し寂しくなった。

「その、詩のおじいさんはどうなったんだ?」

翼がふと思い出したように言った。

「それはわかりません。

でも詩くんは、大変心配してるでしょうね。

おじいさんの容態を....」

この時から、もう10年以上経っている。

詩のような立場の生徒が、あれから家族に会えるなんてことは考えられなかった。





「じじーのばか!」




最後に言ったあの言葉は、詩の胸にもずっと残ってるだろう。

##NAME1##もまた、体の弱い母を思い出していた。







「そういえば詩先輩て、この頃は髪の毛黒かったんやなー」

蜜柑がふいに言った。

「あっそういえば....」

みんな思い出したように頷く。

今のミルクティー色の髪の色も、詩の雰囲気にはすごくあっていたけれど、

この頃の黒い髪も全く違和感はなかった。

「まぁ....地毛で今の色はなかなかないから染めたんだろなーってことは思ってたけど」

殿が呟く。

「そっか。蜜柑たちはもちろんだけど、殿も入学したのは中等部のときだったな。」

「別に俺は染める前の詩知ってたからそんなに髪についておもわなかったけど、

やっぱり、いきなりあの色に変わった時はびっくりしたよな」

翼が、懐かしく思い出すように言った。

「でも、染めたのって確か、殿がくるちょっと前だったはず....」

そう、翼は付け足した。






殿の脳裏に、詩と出逢ったときのことがフラッシュバックされた。

詩とは最初から仲がよかったわけではない。

むしろ、苦手だったな.....

そう思いながら、翼同様、懐かしく思い出していた。







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