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家族/唯一のつながり



「おい!じじーっ

どうしたの!

どっかくるしいの!?

じじーっっ!!!」

神社中に、詩の悲痛な叫びが響いた。

それは、いつものように、詩が祖父に悪戯を仕掛けようとした時だった。

神社を掃いている祖父の後姿に、異変を感じた。

慌ててかけよると、祖父は荒く息をしていて、次の瞬間、その場に倒れこんだ。

詩はどうしていいか、わからなかった。

ただただ、悪い予感が頭をかすめた。










「―おじいさんの命に別状はありませんが、絶対安静です。

しばらく入院が必要でしょう」

医者はそう言った。

医者の説明は難しくてわからなかったが、祖父が大変なことになっているというのはわかった。

とりあえず、今は容態が安定しているという祖父の病室へ向かった。

「じじー...」

ベッドに横たわる祖父は、まるで別人だった。

すごく弱って見えて、目をそらしたくなった。

「詩.....すまんのう....」

声も、いつもの元気で張りのある声でなく、弱弱しくかすれた、小さな声だった。

「じじー...」

一筋の涙が頬を伝った。

「なーに。

こんなの、すぐによくなるわい」

そう言った声も、大丈夫そうになんて聞こえなかった。

「じじーのばか!」

詩はそう言って、病室から勢いよく出て行った。






病院の待合室で、詩は1人座っていた。

外はもう、暗くなり始めていた。

そんな時だった。






「詩....?

詩ね?」

目の前に現れた人物に、驚く。

「マ...マ....?」

恐る恐る、相手を呼ぶ。

その後ろには、父親と、見たことの無い黒スーツの男2人。

「さっそくですけど、お願いします」

母親は、黒いスーツの2人組みにそう言って、その場を離れてしまった。

「ママ?」

追いかけようとしたが、黒いスーツの男に阻まれた。









「東雲 詩くんだね?

これから君は、アリス学園に入学してもらいます。

もう、車は来ているので.......」






「え....」




わけが、わからなかった。








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