家族/唯一のつながり
幼い詩は、自分の身に起きたことが理解できず、初めて会う祖父に馴染めないでいた。
祖父は、とある神社の神主をしていた。
長い白髪を後ろで結い、白いひげが特徴的な仙人のような風貌。
歳の割に元気な人だった。
「ママにあいたい....
いつになったら、ママはむかえにくるの?」
詩の毎日の口癖だった。
それに祖父は、
「しばらくはあえんのう」
と答え、掃除の続きをするのだった。
詩は1人神社で過ごし、式神を出して遊んでいた。
「じーじ、これ、なに?」
詩はある日、祖父に自分が自由自在に出せる式神を恐る恐る見せる。
これを見せると、母親も父親も気味悪がった。
一体これは何なのか.....
そんなに怖いものには、詩は見えなかった。
祖父も怖がるだろうか....?
不安がよぎった。
でも祖父はそれを見て、微笑んだ。
「それは〝式神〟というんじゃ。
怖いものではない。
.....わしも、それを出せる」
そう言うと、祖父は詩と同じ白い人型の紙を出した。
祖父も、式神のアリスだった。
「これはさっきも言ったとおり、恐れるものではない。
でも普通の人にとっては、気味悪がられてしまうようじゃ。
わしの娘は特にそれを嫌っての。
しばらく疎遠になっとった。
でも、少し前に電話が来てのう。
お前を預かって欲しいと.......
自分の子どもまでそんな風に言うなんて悲しかったが、正直......嬉しかった。
こうやって孫と会えて。
それでも、子どもは親と暮らすのが一番じゃ。
わしが娘を説得する。
それまでしばらく、ここにいなさい。
そして、1つだけ覚えておきなさい。
その力は、決して隠す必要など無いんじゃよ」
そう言って、祖父は詩の手を握った。
詩は、まだよくわからないこともあったが、うんと頷いた。
それから、祖父との距離は縮まっていった。
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