式神のアリス/弱さと幼さ/未熟な式神
「詩、しっかり自分のアリスと向き合うんだ。
どんなアリスも使い方次第で毒にも薬にもなるんだ。
人を傷つけるだけが、お前のアリスじゃないだろ?
自分のアリスを否定するなんてそんなの寂しいじゃないか。
そのアリスをもって生まれたことは、きっと意味のあることなんだよ。
この学園でかけがえのない仲間と出会って、共に生活し、笑いあって、助け合って、成長していけば、おのずとわかってくる。
ここにいる皆は、家族だ。
ここは、詩、お前の居場所だ。
そんな家族を傷つけたり、自分の居場所を自分で失くすなんて悲しいこと、もうしないと約束してくれ、詩」
「.....でも、もうきずつけちゃった
いばしょもなくなった.....」
「確かに、お前のしたことは許されないことだ。
でも、大事なのはこれからだ。
お前は大事なことに気づくことができた。
だからもう、大丈夫。
これからちゃんと、自分と、まわりと向き合っていけば、きっとすぐに皆理解してくれる。
今、理解してくれた人たちがいるだろ?」
先生は俺と柚香先輩のほうを見る。
「え、俺も?」
ばしっと、後頭部に柚香先輩からの一撃をくらった。
「いったー....」
横目で柚香先輩をみると、柚香先輩は、詩のほうに、微笑みかけていた。
その横顔にドキッとしたことと、それが向けられたのが詩ってことに嫉妬したことは秘密。
俺も仕方なく、詩に笑いかけてやった。
生意気そうな後輩だと思ったけど、それが柚香先輩と出会う前の自分と重なって、少し懐かしくなった。
「さーて、さっそく、新しい家族紹介するぞ!
いざ!特力に!!!!!」
先生はいつものようなテンションで言って、詩の手を引っ張り、特力へ向かった。
最初こそ、みんなに怖がられたものの、先生のサポートのおかげで、少しずつだけど、詩は特力と馴染んでいった。
そして、少しずつ笑顔も増えて、荒んだ目もしなくなった。
相変わらず、生意気な後輩だけどね。
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