行方不明/嵐の前触れ
RRR......
「今の電話の相手、特力の....原田美咲ちゃん?
......知っちゃったんだね、蜜柑ちゃん
翼君のこと」
「ナル先生....」
殿は俯く。
「蜜柑の奴、思ったとおりパニくって.....
翼の危力系行きの件も自分を責めてるみたいです。
美咲らだけに任しとくのも可哀そうなんで、俺戻ります」
ナルとの話の最中にかかってきた電話。
蜜柑.....
「あいつ....詩も知ってるんですかね、今回のこと」
「.....それは僕にもわからない。
けど、僕としては知らせてほしくない」
「え?」
「あいつは、何をするかわからない。
詩は誰よりも学園のことを考えていて.....
それだけに任務で学園を離れることだけでも、辛いことだと思う。
翼くんの危力行きの件なんか、任務に行く直前までメンバーから外すように働きかけてた。
翼くんのことだけじゃない。
きっと、みんなのことも心配してる。
そんなときに、今回のことを聞かされた詩はどんな行動をとるか、僕には測り知れない......」
「そうっすね.....
でも、今回の件が広まる中で詩の存在がこの学園にないことは、けっこう....痛いっすよね。
こういうときに、詩がこの学園の生徒にとってどれだけの存在だったかを改めて、感じます」
「ああ....
また、何も言わないで出て行って......
そろそろみんな、長期任務だって気づき始めた頃かな....」
詩がいないのは、何だか物足りない。
物が散らかっていた部屋もがらんとしていて、きれいになっている。
詩の定位置の窓際の席は何日も空席。
特力の教室にいつも何故か1番に来ているその姿もない。
どこに行っても、あの姿は見つけられない。
どこか遠くへ行ってしまったような空虚感。
これになれるまで、また少し時間がかかりそうだ.......
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