式神のアリス/弱さと幼さ/未熟な式神
俺と、詩がはじめて会ったのはそう....
確か、特力の教室の前だったかな____
(ったく、柚香先輩も俺をおいて先行っちゃうなんてヒドイなぁ....)
そう思いながら、特力の教室の扉に手をかけた。
そのとき_____
バンッ
いきなり扉が開いて顔面直撃。
俺はもちろんキレた。
「ってぇーな!」
額を押さえながら誰かと目をやると、それは目の前にいなくて。
ふと視線を足元にやると、そこに、俺の額の痛みの原因がいた。
そのあまりの小ささに驚く。
―初等部の.....ガキ?
見るからにA組くらいで、知らない顔。
でも、特力から出てきたということは?
......いやいや、ただでさえ少ない、ここへ出入りする初等部の顔なんて覚えられる。
じゃあこいつは.....新入り?
ぴんときた。
確か、最近初等部に新しく入ってきたっていう、入学早々に
〝特別生徒〟
に指定されたガキ。
自分も一応、特別生徒なわけだから、そういう情報もはやい。
そんなことを考えていると、そそくさとそいつは立ち去ろうとする。
「ちょっテメ、おい待てよ!あやまるのがっ....」
そいつの肩をつかんだ手が、ゆるんだ。
怯んでしまった。
そいつの瞳に。
そいつは、鋭い瞳で睨んだ。
ガキとは思えないような、黒く濁って荒んだ目で。
そうこうしてるうちに、そいつは俺の手を振り払って行ってしまった。
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