色とりどりの感情/切ない初恋
翌朝。
―あれ....?
アリスストーンがない....どこにも。
「アリスストーンなら
いつまでも他人にみせるのもったいないくらいキレイだから、
とっくにしまったよ。内にね」
―柚香先輩、知ってる?
僕のアリスをキレイと言ってくれたあの日から、
どんな時も僕は、
独りを感じることはなくなったんだよ。
胸にしまった星屑に、
あの時の温もりがまだ
残ってるからなのかな........
―初めから片思いの、ある意味 失恋から始まった僕の恋は、
それが当たり前すぎて
悲しいだなんてちっとも思わなかったよ。
それよりも、人を好きになれた喜び
気持ちを伝えられなくても彼女がそばで笑ってくれる奇跡
それを守るためなら、僕は何だってするよ。
―あれから約半年後、
中等部1年 13歳の夏
柚香先輩は中等部3年 15歳の夏____
この頃の柚香先輩は、
先生の協力もあって
特力クラスメンバーともうちとけて
数少ないながらも
信頼できる仲間に囲まれていた。
―とはいっても
彼女を取り囲む厳しい状況は相変わらず
「この間アリスなくなって退学になった子いたじゃん?
アレ絶対安積柚香のせいだよー」
「どろぼう....」
「元愛人....」
「...知ってる?
もし安積柚香を....」
―守りたい。
少しでも早く柚香先輩より大きくなって、
彼女の周囲を吹きすさぶ逆風から。
彼女を苦しめる全てのものから、
笑顔を....
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