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消えた光/アリスに託された思い



「青年よ、わしがアリス石をつくる。

その結界の力を貸してくれ」

志貴はそっと、詩の石が消えた手に自分の手を重ねた。

まばゆい、幻想的な淡い光が、病室を包んだ。

とてもきれいだと思った。

寝込んでいる老人が作っているとは思えないほど、エネルギーに満ちていた。

ほどなくして、その光は消えた。

老人は、その手にできたばかりの石を差し出した。

受け取った志貴は柚香とともに驚く。

今までみたことのないくらい、ずっしりと重く、能力が凝縮されているのがわかる。

これまで多くの石をこの手にとってきたが、これはそれらのどれよりも、大きく違っていた。

ーこのアリス使いは....

もしかして、本当にすごい人なのではないかと志貴は実感する。

自分の生きてきた人生の何倍も生き、アリスを磨き続けた果ての賜物。

時間を忘れ、その結晶を見入った。

そんな2人に詩の祖父は満足げに言う。

「年寄をあなどってはいかんぞ....

ははは...」

そう、悪戯っぽく笑うところが、詩と重なった。

「この石が、誰かの役に立たなくてもいい。

ただ、世の中が平和で、希望の光が絶えぬように....

それをお主らに託すのはちと...荷が重いかの。

でも、若き光たちよ、自由を愛し、アリスを、ここに生まれてきた奇跡を誇りに思い、力強く、生きるのじゃ....」

老人は、最後まで笑っていた。

死の訪れを待つこの老人のほうが、自分たちよりも何倍も輝いているように感じ、勇気づけられた。

志貴は大事に、その石をしまった。








「学園に来たが、詩にこの石を渡すタイミングがなかった。

彼の精神面が体調に影響を及ぼすほど、詩は衰弱していた。

そんな時、詩の祖父が詩の存在をすべて忘れ、もうこの世にいないという事実を伝えることは酷のように思えて、

私は今の今まで詩の祖父から授けられた石を持ち続けた」

皆、静かに志貴の話をきいていた。

「こんなことになるならば、早く詩に渡しておけばよかったと、後悔している」

でも、誰も志貴を責めることはない。

家族を渇望していたからこそ、詩を傷つけたくない気持ちは誰にだってわかっていた。

##NAME1##も静かに、そのアリスストーンを見つめていた。

「式神のアリスがなぜこんなに美しいのか、わかった気がする....」

##NAME1##はそう言って、その濃紺のアリスストーンに触れようと手を近づけた.....そのときだった。






まばゆい、神々しい光が詩の祖父のアリスストーンから発せられた______






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