このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

差し出した手/踏み出した一歩



「のばらちゃん...どうして...どうやってここに...」

部屋の中の蜜柑は、外の喧騒とは別に、困惑していた。

そして、目の前ののばらの異変に気づく。

のばらの体は、透けていた。

ーこれは、のばらちゃんの魂...!?

じゃあ、病院にいるのばらちゃん本人は...?





ー蜜柑...ちゃん...ありがとう...今まで....




心に響くようなのばらの声。

俯き、悲しそうに涙をためるのばらはただの虚像には見えなかった。




一方の病院では、のばらの心肺が停止し、賢明な蘇生が行われている最中だった。

ペルソナが見守り、昴の治癒と、櫻野のコピーのアリスを中心に治療室は慌ただしさを増していた。






蜜柑の部屋の外では、##NAME1##の強力な結界の援護のもと、危力系が敵をあっとゆうまに制圧していた。

敵を倒し終えたと思った矢先、陽一が何かに導かれるように、蜜柑のいる部屋の扉をどんどんとたたき始める。

「よーちゃん?!

だめよ、そのドアは私たちではあかないのよ」

ルイがそう言うも、陽一はきかなかった。

そこで##NAME1##ははっとする。

同じ結界使いの姫宮とのつながりで感じ取る。

「何か...感じるの?」

陽一にきいたのと同時に、咄嗟に思った。

蜜柑をとめなければ。

姫宮の力もあってか、別段大きなアリスを使わずとも、扉は手をかけただけで容易に開いた。





「の...のばらちゃん?」




誰かと声が重なった。

そこで皆、なんとなく察した。

「のばらちゃんの容態...っ」

ルイの顔がひきつっていた。

蜜柑もまた、目に涙をためていた。

「行ったらあかん....っ

消えたらあかん...っ」

そのあとの蜜柑の行動を察しても、とめるには誰もおいつかなかった。

ただひとり、##NAME1##をのぞいて。

ー蜜柑の君を...止めよ...

そんな姫宮の声に、反射的に動いていた。

「だめーーーー...っ」

そんな蜜柑の声とともに、##NAME1##は蜜柑の腕をつかんでいた。

しかし、アリスを発動するまでの時間はなかった。

蜜柑と##NAME1##は、蜜柑のテレポートにより危力系のみんなの前から消えた。





「##NAME1##ちゃん...っ」

ルイの声だけが、そこに虚しく響いた。







.
2/6ページ
スキ