共鳴
太陽はもう、真上にきていた。
意外にも学園には容易に入ることができた。
そのことから、まだ自分が脱走したことには気付かれていないことがわかる。
服従の式神だけでも大きな力を要するが、それが何体もとなると、やはり負担は大きくなる。
詩は車を離れると、任務地の仲間と東堂の服従を解いた。
目が覚めるのも時間の問題。
できるだけ早く行動しなければ。
服従を解いた瞬間、学園内の式神から多くの情報が流れてくる。
服従で使っていたアリスを今度は、集中して学園内の式神たちに向ける。
詩の顔が曇る。
どうやら事態は深刻な方に向かっているようだった。
「蜜柑、棗....」
初めて、この学園で今とんでもないことが起こっていることに気づく。
意を決して、詩は走り出した。
―ザッ....
詩のまわりに、各部をおさえた風紀隊たちが横たわる。
急所は避けた。
まだ動ける者が大半だが、詩の殺気にもう誰も襲い掛かることはなかった。
とりあえず、蜜柑たちのほうに向かう風紀隊たちを片っ端から動けぬようにした。
次第に、自分のことも追う追手が出てきて、気づかれたとわかる。
でも、これで蜜柑たちのほうへ向かう風紀隊たちが減ればいい。
詩は、蜜柑たちとは別のほうに風紀隊を誘導することにした。
そっちは花姫殿か......
式神から逐一蜜柑たちの情報を受け取り、慎重に動く。
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