差し出した手/踏み出した一歩
「危力系...っ
お前ら、何でここに!」
蜜柑の幽閉されている扉の前に、風紀隊に少し遅れて到着したのは、ルイ、颯、八雲、陽一。
そして...
「おい、あれは確か、中校長姫宮の側近!」
危力系の中心にいたのは、##NAME1##だった。
「中校長代理がテロ犯に結界で協力し、公約違反を犯した証拠はない。
あなたたちこそ、勝手に扉を破るのは公約違反のはずよ」
「な、なにを言って...」
たじろぐ風紀隊に##NAME1##は続ける。
「私たちは、中校長姫宮の命を受けてこの部屋への入室を阻止しにきました。
この学園の稀代の結界師は志貴さんだけとでもお思いですか?
まさか、遥か昔から当代随一の結界師をお忘れとは言わせません。
....もし姫様がテロ犯の協力者なら、初校長と中校長代理の協約など預かり知らぬこと。
あなた方のこの行為こそ、重大な処罰に値する協約違反では?
その覚悟は、おありですね」
##NAME1##は、堂々とした出で立ちだった。
それには、ルイも感心していた。
ーさすが、姫様の傍にいる結界師....
##NAME1##をそうさせたのは先ほどの出来事。
##NAME1##は、ニューイヤーコンサート中は志貴によって姫宮の傍で待機の指示を受けていた。
そこで大方の様子を姫宮や危力系と見守り、さらに、時空へ避難した若紫こと蛍と連絡を取り合っていたのだ。
「姫様、会場での初校長暗殺は失敗しました。
きっと...すぐ初校長は蜜柑を狙いに来るはず。
どうか、阻止してください。
姫様、蜜柑をお願いします....」
学園が新たに形を変えようとしている中、今まで静観し続けた姫様も、今回ばかりは動く様子だった。
「それともう一つ、そこに##NAME1##先輩や危力系の皆さんがいると思うので伝えておきます。
詩先輩も今、初校長の討伐に加わっています」
その言葉に皆、驚き、そして不安がよぎる。
だって彼のアリスは....
「詩先輩は、アリスを取り戻したと言っています。
どうやったのかはわからないけれど、彼の体調を客観的にみても、それは本当だと思います。
今、みんな戦い始めています。
どうか、お力添えを....」
詩が戦っているときいて、##NAME1##も何もせずにはいられなかった。
心配そうなかきつばたを前に、姫様はすべて理解したように言ってくれた。
「菫の君。
そなたのその強い瞳が気に入っておるのじゃ。
私が認めた結界使い。
胸を張ってゆけ」
姫宮がそう、送り出してくれた。
だから今度こそ、私もこの戦いに加勢するんだ。
詩が傍にいない間、めそめそしていたわけじゃない。
私だって、この未来を切り拓いてみせる。
私はアリスであることを誇りに思う。
この力で、詩のようにみんなを守ってみせる。
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