反撃の狼煙
「悪巧み中失礼、
俺らもまぜてくれよ」
いつの間にかいた、翼と殿。
棗は心底うっとうしそうにしている。
流架は今の会話を聞かれていたことに驚いていた。
でも、みんな目的は1つでそれは言葉にしなくてもわかっていた。
そしてこれはある意味チャンス。
Zは敵だが、初校長を倒す計画にこちらも便乗できる。
そんなわけで、今は4人で一緒に鳴海からの通信を聞いているところ。
そこでおおまかなレオの計画を知るものの、みんなレオの馬鹿さ加減には終始呆れていた。
「なるほどな」
理解した殿が言う。
「こんな馬鹿に影響されて盛り上がってんじゃねーよ」
「なっ棗はその程度の気持ちじゃ...!」
流架が反論する。
「どっちでもいいさ。
そんな汚い仕事はZにやらせておけ。
この計画お前ら2人でなんてどだい無理な話だ。
勢いで無駄に命を削って、いざという時蜜柑のもとに駆け付けてやれないような事態を作ってやるな。
俺たちは、初校長を1人きりでも倒せる力をもってるやつを知ってる。
そしてそいつは俺たちを頼ろうとしなかった。
1人で全部しょいこんで.....
でもそいつがいなくなったことで悲しい思いをする人がいるってこと、俺たちはこの数か月で痛いほど思い知らされた。
お前もそうだろ....?
言いたいこと、わかるよな。
お前には、詩みたいになってほしくないんだ」
空気が、一瞬ぴんと張りつめた。
「棗、お前はさ、もう少しみんなで力を合わせるってこと、覚えてかなきゃな。
俺らがこれからやることは、結果初校長を倒すことになっても、大事な人達と....学園を守ること。
それだけだ。
詩がいなくて不安なこともあるけど、あのバカ野郎のためにもさ、みんなで力合わせて勝ち取った自由、見せつけてやろうぜ」
そう力強く言って笑う殿。
殿の隣にはまるで詩がいるようだった。
だって、こうゆう場にはいつも詩がいたから。
いない方が不自然な気さえしてくる。
詩がいない穴、それはみんなの精神的にも大きかった。
―詩、お前がいなくても俺らは勝ってみせるよ。
だって、今のカラッポなお前じゃなんもできねーだろ?
自由と一緒にお前も取り戻してやる。
だから、おとなしく待っとけ。
殿は空を見上げる。
ふと詩が前言っていたことを思い出す。
「殿!今日は絶好のさぼり日和だなっ」
いつもの笑顔で言う詩。
「さぼり日和ってなんだそれ」
呆れながらも殿は詩の背中を追いかけた。
天気のいい日はそうやって、一緒に遊んでいたっけ_____
なんで今こんなこと思い出したのかわからない。
いつのことだったかも覚えていない。
でも、あんな何気ない日々を思うと隣にいないお前が恋しくなるよ。
そんなこと思ってただなんて、また会っても言わないけどな。
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