孤独/退屈な冬
学園は、また揺れる。
平穏は、本当に束の間だった____
年が明けた。
それとともに、学園に重大なニュースが知れ渡る。
―毛利レオは、学園の控室にいた。
それも、学園のニューイヤーコンサートと称された初校長暗殺のため。
そうとは知らず、生徒たちは大盛り上がり。
一部、今回のことに不安を抱く生徒がいて、裏で少しずつある準備が進められているのは教師も知らないこと。
控室ではレオが紫堂たちに今回の任務のぐちを言っているところ。
しかし、今回の任務の本当の目的を知った途端、おおはしゃぎ。
「あんな下劣な初校長のいいなりにさせておくかよ!
学園もろともぶっつぶれてしまえ!」
レオは楽しそうに笑っていた。
「てかさ、今回あのでしゃばりチビも出てこないんだろ?」
レオが紫堂に問う。
「でしゃばりチビとは?」
「詩だよ!
あの式神とかゆうわけわかんないアリスの。
あいつのことだってつぶしてやりたかったのにっ」
「チビって...いったい何年前の話です?」
紫堂は笑う。
「なっ笑うなよ!
あいつには借りがあんだよ!」
「あー思い出しましたっ
レオ様は学園在学中、東雲詩にちょっかいだしては返り討ちにされていたんでしたっけ?」
「はっ!なんでお前がそんなこと知ってんだ?!」
「レオ様のことはすべて知ってますよ。
それとも、久しぶりの学園で後輩の顔が見れなくて寂しいんですか?」
「なっなわけねーだろばーか!!
てゆーか俺が来るってゆーのに寝込んでるなんて、敵でもない」
「まあ、こちらとしても邪魔が入るのは望みませんしね。
東雲詩は我々の組織から見ても厄介です」
「そんなのこっちに引き入れりゃーよかったじゃん」
「ボスも最初はそんな話をしていたそうですが、東雲詩は日本が国で秘密を保護するレベルのアリス使いです。
今の我々の体制では牽制が限界、扱いきれませんね」
「ちぇ、あいつのどこがそんなにすげーんだか」
レオはそう呟いた。
今までのすべての会話を鳴海に聞かれていたなんて、レオには想像もできなかっただろう.....。
一方詩はベッドの中、学園の変化に気が付いていた。
それも、わずかに残った学園内の式神たちが教えてくれた。
「レオが来るのか....。
初校長も大胆なことをするな。
でも、レオがそう素直にあんたの言うことを聞くかな....」
詩は呟いた。
きっとこのこと、鳴海や志貴が自分に言うわけはない。
いつ自分が出ていけばよいのか、そのタイミングも諮らなければならない。
タイミングを間違えば、志貴に迷惑をかけることになる。
でも、そろそろだ。
きっとこれが最後の戦い。
守ってみせる、この学園を。
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