星空の下(櫻野・今井昴side)
―10年前
「おいっ!おい、昴!」
深い眠りの底から、無理やり連れ戻された現実の世界。
「ん...」
眠い目をこすり、呼ぶ声の主を確認する。
「...詩?」
安眠妨害されたことで、少し機嫌が悪い昴。
―バンッ
と、詩が昴のベッドに飛び乗ったことによってベッドのスプリングが勢いよく跳ねた。
その反動で、昴の体も少し浮いた。
「何するんだよ....」
そうまだまだ不機嫌な声で返す。
「なぁ昴ーっ
起きろよ!」
テンションの差はまさに天と地。
「何言って....今何時だと思ってんだよ」
時刻は深夜0時を過ぎていた。
「ばかだろおまえ...本気でいってんの?」
「本気だって。
いいから起きてー
見せたいものがあんの!」
「何だよそれ...
今じゃなきゃだめなの?」
「うん!今じゃなきゃだめ!
ねぇー昴ーっ!
起きろ起きろーっっ」
そう言って詩は、昴のいる詩のベッドを飛び跳ね始めた。
「―ちょっと詩!
騒いだらタカハシさんに怒られちゃうよ!」
そこで昴は初めて、櫻野がいることに気づいた。
「櫻野も起こされたの?」
詩が静かになるようにと、ひとまずベッドから起き上がって言えば、
「うん」
と、困ったようにまだ眠そうな櫻野が言った。
「すぐ終わるから!」
そう言う詩に、僕達は負けた。
.