契約
緊迫状況の中、交わされる契約。
それと同時に強固に修復される学園の結界。
皆が戦いの終わりを悟った。
しかし、高等部では重苦しい雰囲気。
これでひと段落着いたのに、学園は守られたはずなのに、みんな、悲しそうな表情。
やりきれないような、悔しそうな表情。
だけど、誰も声は発さなかった。
学園を修復しにいった志貴、契約を交わし表情は固いままその場を去った初校長。
風紀隊や月たちもその場を去っていた。
そんな中、詩は割れた窓から空を見つめていた。
ただ静かに、でもどこか吹っ切れたように。
みんなの気持ちとは裏腹に、詩は強く、その場に立っていた。
その顔を光が照らした。
朝だ――…
ついこの前までとは違う気持ちで迎える朝。
その光は希望で溢れているはずなのに、今だけは違った。
切ないような、悲しいような、朝。
だけど、みんなのほうを向いて、詩は笑ったんだ。
こんな時なのに、いつものようなみんなに光を与える笑顔で。
みんな、不思議な感覚を覚える。
さっきまでの心を覆っていたモヤが、少しずつ晴れていくような、そんな感覚。
朝の風が、詩のミルクティー色の髪を触った。
体はボロボロなはずなのに、それでも詩はそんなことへでもないような顔をしてそこにいた。
―そんな姿ももう、見れなくなるなんて、誰も思ってはいなかった。
「ごめんな、##NAME1##――…」
詩の声が切なく小さく響いた。
そしてふいに、##NAME1##の唇を塞いだ。
一瞬だった。
みんな見届けていた。
2人の横顔は、朝日に照らされ美しかった。
そしてひどく悲しく切なかった。
「少しだけ、待っていてくれ。
また必ず、隣で笑う日がくるから。
##NAME1##との約束、絶対守るから」
そのまま詩は、みんなに背を向け歩いていった。
誰も引き止めることができなかった。
さきほどの契約が、皆、信じられずにいた。
だけどそれは紛れもない事実_____
##NAME1##の頬を涙が伝った。
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