契約
「いや....っ」
蜜柑の悲痛な声が響き、みんながはっとした。
蜜柑は、五島に拘束されていた。
「五島...っ
お前は!」
詩は驚きを隠せない。
「すみません、詩先輩。
詩先輩にはお世話になりましたが、あなたの信念には従えません。
詩先輩だけじゃなく、ここにいる方々全員。
私も学園を守りたいという気持ちは同じですが、方法が違ったようです」
静かに、無表情に五島は言った。
「何を言ってるんだ、五島」
櫻野が言う。
しかし、五島はアリスを使おうと手をのばす詩に向かって言った。
「今ここでアリスを使ったらあなたは死ぬ」
横で、##NAME1##がびくんと震えたのがわかった。
詩は、皮膚が白くなるほど拳を握り締めるしかなかった。
「今だって立っているのも辛いはずなのに。
誰も、あなたを失いたくありません」
それは、久遠寺の言葉を代弁しているようだった。
詩は、傷ついたような、だけどまっすぐな目を五島に向ける。
「俺は、どうしてもお前の行動が理解できない。
なんでそいつのそばにつく?
わからないか?今自分が何をしているのか。
......でも、気づけなかった俺も悔しいよ。
お前が何を思い、何を感じて、学園で生活していたか......」
五島の瞳が、少しだけ揺れた気がした。
そんな五島の後ろから、やっと姿を現した人影。
「ずいぶんな物言いだな、詩」
一歩前に出てきたのは久遠寺だった。
「お前こそ、自分が何をしているのかわからないのか?
お前は今すぐこちらに投降するのが懸命だと思うが?
佐倉蜜柑と同じく、こちらに来なさい」
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