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爆発/悪夢は再び



「柚香....っ」

志貴は爆発のあった扉に駆け寄り、瓦礫をかきわけた。

瓦礫の下にその姿を見つけたとき、誰もが言葉を失った。

そこにいた敵でさえ。

柚香は、ナルに覆いかぶさるカタチでそこに倒れていた。

とっさのテレポートでも、爆発の影響をすべて回避できたわけではなかった。






「お母さ...」





蜜柑の声は震えていた。

ひとまず瓦礫の下から救出された、柚香のもとへ寄り添う。

全身かなりの火傷を負っていて、特に瓦礫がささった腹部からの出血がひどかった。

鳴海のほうは、柚香ほどケガを負ってはいなく、意識はしっかりしていた。

「せんぱ....」

近くに横たわる柚香に、鳴海は言葉を失った。

「お母さん...お母さん...っ」

蜜柑は必死で呼びかけ、棗から受け取った治癒のアリスストーンを柚香の中へ入れた。

すると柚香は、うっすらと目を開けた。

「み...か....」

小さくかすれる声で、柚香は言った。

そして我が子の頬に手で触れ、涙した。

蜜柑の目からも、同じように涙が流れた。

「おかあさ.....ん......」

蜜柑は、母の胸に顔をうずめた。

みんな、慌しく動き始める。

風紀隊たちも動揺していた。

あの、小泉月でさえ。

そんな月に、柚香は目を向けた。

「ごめんね....月....」

悲しそうな.....それでも、しっかりと月に向けられた言葉だった。








そしてそれが柚香の、最期の言葉となった。















「ゆかちゃ.....」

「お母さん、お母さん!」

「せんぱ....先輩!」

「柚香っ」

柚香を呼ぶ声が飛び交った。

棗や流架、駆けつけた櫻野や昴、蛍たちも目の当たりにし衝撃を受ける。

しかし、柚香は静かに目を閉じ、もう二度とその目をあけることはなかった。









「柚香さん.....」

詩は、いまだその事実が受け入れられなかった。

「嘘....だろ....」

横にいる##NAME1##は顔を覆い、みんなと同じように衝撃を受けていた。

詩は、柚香から目を背けることはできなかった。

詩にとって二度目となる、大切な人が亡くなる瞬間。

......先生も柚香さんも、最期は死を受け入れたような目をしていた。

その目がどうしても忘れられない。

この世にまだ無念と蜜柑を残して、2人は逝ってしまった。

こんなの、蜜柑が耐えられるわけがない。

まだ、これからだったのに。

家族の時間は.....

なのに、なんで....なんで....

神様は残酷だ。

こんなの、こんなのあっていいはずがない。

これが誰の仕業かなんて考えなくてもわかる。

またあの悪魔が、自分の私利私欲のために悪の手を使った。






柚香さん....

どうして貴女まで.....





まだまだ受け入れられない。

けれど、柚香さんの顔は安らかだった。

先生の死とは違うこと。

それは、大切な人たちに看取られて息を引き取ったこと。

それが、柚香さんの救いであったことを願います。


















柚香さん、逝かないでくださいよ.....






こんなの、こんなの.........













詩の頬を、涙が伝った_____






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