爆発/悪夢は再び
高等部内にいる敵も味方も、ほとんどがそこへ向かっていた。
―月光がさす、鍵穴。
そして今、集結する。
詩もちょうど、##NAME1##と共に到着したところだった。
棗と共にいるのは、蜜柑。
鳴海と共にいるのは、柚香。
なんだか少し切なくなった。
棗はもう、二度とというわけではないが、蜜柑と会うことはないだろう。
その繋いだ手を離すのが、どんなに辛く悔しいことか。
できることならその手で守りたかったはず。
でも、それができない現実。
今彼は、それを強く実感し、受け止め、今自分にできることのすべてで、蜜柑を守ろうとしている。
大丈夫。
2人ならきっと、誰よりも強い絆で結ばれているから。
だから今は、一緒に見送ろう。
新しいスタートを。
ふと、棗がこっちを見て何か言いたげな目をした。
そこで思い出す。
棗にも念力系のアリスストーンが入っていたんだっけ。
きっと、詩の思いが届いたのだろう。
詩は力強く頷いた。
―最後まで、守りきれ。
棗、お前が......
反対側に、見覚えのある姿が見えた。
「―翼!?
なんでお前がここに!」
しかしその声も、周りの喧騒にもみ消される。
翼の手には、あの高等部の鍵穴の〝鍵〟
それを、柚香に示していた。
それを柚香は受け取り、鍵穴へと走る。
そのすぐ後ろを鳴海が追いかけた。
その場にいる皆が、その瞬間を待ち望んでいた。
今日の戦いの終止符が、今打たれる。
蜜柑と柚香、そして鳴海の新たなスタートの扉が、今開けられようとしていた。
その扉の先に、たとえどんなに苦しいことが待っていても、3人ならきっと、乗り越えられるだろう。
それぞれが、前とは違う。
強い決意をもって、学園を出る。
そんな3人を姿が見えなくなるまで見送ろう。
そして自分も、新たな決意をしないと。
学園から出ることだけが現時点での最良の方法。
それは仕方の無いことだけど、でもやっぱり、他の方法は無かったのかと悔やんでいる自分がいる。
先生、俺はこれでよかったのだろうか.......
蜜柑を、この学園で守りきることができなくなった。
ごめんなさい、先生。
でも俺は、改めて決意した。
蜜柑たちにこんな辛い選択をさせるまで追い込んだ、アイツを絶対許さない。
俺が、アイツを。
俺があの初等部校長の悪の根を断ち切る。
この手で。
このアリスで_____
そして、その時が来る。
........柚香が、鍵穴に鍵を差し込んだ時だった______
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