親子の再会
「ナル...」
柚香は鳴海の前に立つ。
「――こわいのよ....
もう人を好きになるのは....
この運命に、誰も巻き込みたくない....」
寂しげな柚香を、鳴海は何も言わずにそっと抱きしめた。
詩と志貴が見守る中だった。
「どんなに逃げても、俺は追いかけるって決めたから。
運命なんかに負けたりしないって、証明するために」
―私を見る、あんたの強くて真っ直ぐな目が怖いの。
心を揺さぶられて.......
「あきらめてよ先輩。
俺はもう、あの頃のような子供じゃない。
あなたに守られた、もうあの頃の俺じゃない.....っ」
もう誰も好きになんかなりたくないのに....
なのに....
この腕を振りほどくことができない....っ
柚香は鳴海に体を預けていた。
そんな中、志貴からテレパシーが届く。
〝鳴海も行くなら、結界を破る方法は使えない〟と。
そして、〝それがどんな道でも君を変わらずサポートし続ける〟と。
志貴....
―月が見てる。
私の心を見透かしてる。
ごめん、志貴。
これ以上ナルを突き放せない....
「―急ごう、もう時間がない。
蜜柑を捜し出して、今すぐ鍵穴へ...」
志貴の声が響いた。
一旦は棗と離れ流架と共に行動をしていた蜜柑。
それが今、また再会を果たしていた。
2人とも目が合った瞬間、名前を呼び合い、抱きしめあった。
離したくない、離れたくない、
2人の思いが溢れ出しているようだった。
2人がそっと体を離してすぐだった。
目の前に、蜜柑の母、柚香、そして志貴、鳴海、詩が現れたのは____
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