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親子の再会



鳴海は、セントラルタウンの人気のない路地を、負傷した肩をかばいながら歩いていた。

目をあけたとき、隣に柚香先輩はいなかった。

......あの時と同じ感情が襲った。




―もうあんな喪失感、味わいたくない...





そう思ったから、痛む肩をおさえ、必死に歩いていた。

少し先に、人影が見えた。

敵かと思い、身構える。

しかしそれは、自分のよく知っている姿。

相手もこちらに気づき、少し驚いた顔をしていた。

「詩...?」

「ナル....」

詩に近づいてはじめて気づく。

詩のじっとたたずんでいる場所。

そこには、もう虫の息の風紀隊たちが倒れていた。

その風紀隊たちは、武装しているようだった。

その様子から、手加減している余裕はなかったとわかった。

「ははっ...見られちゃったね」

詩は寂しそうに笑った。

なんでこんな時でもこいつは、笑うんだろう....

そんな笑顔なんて、見たくない。

詩はその場に座り込む。

心身ともに、ひどく疲れているようだった。

そんな詩は はぁ....と溜息をついて空を見上げた。

「星って、きれいだよね」

「え...?」

詩のふいの呟きに、すこし戸惑う。

「地上はこんなに汚いことであふれてるのに、見守ってくれる星があると、すべて許される気がしてしまう。

こんなこと許されるはずないのに、ばかだよな。

先生があの星のどれかだとしたら、今のこんな姿は見ててほしくないな」

珍しく、弱気な詩がそこにいた。

「誰も詩をせめないよ。

先生はいつだって、僕らの醜いところひっくるめて愛してくれた。

自分じゃ気づかない僕らの光るところをたくさん見つけてくれて、励ましてくれて、一歩踏み出す勇気をくれた。

だから詩も、自分で自分を責めるなよ」

静かに、鳴海は言った。

「....ナル、ありがとう。

まだ何も終わってない、こんなとこで弱音吐いてる場合じゃなかった」

すっと詩は立ち上がり、いつもの笑顔を見せた。

「ナル...お前も行くのか?」

「ああ」

「でもそんな体で....」

そう、詩が言いかけた時だった。

「詩には言われたくない。

お前だって人の気も知らずに1人で全部決めて、突っ走る。

周りの心配もよそに、平気な顔でいつも無理をする。

本当は俺だってとめたかった。

でも、俺にはそんな資格ないから...っ」

詩ははっとした。

鳴海も詩と同じように思っていた。

同じ気持ちを抱えているからこそ、互いに無茶をとめなかった。

「今だって、行ってしまう....また先輩は、あの日のように俺をおいて......

二度も失って、耐えていける自信はもうないんだ!」

鳴海だってずっと後悔し続けていた。

ずっと苦しんでいた。

その思いが、心にずん...と強く突き刺さった。

好きな人を失いたくないという気持ち、一人にさせたくない、守りたいという気持ち。

今ほどわかるときはないだろう。

詩も、##NAME1##を思い浮かべた。

鳴海の肩に手をおいて、治癒のアリスを施す。




「あの時の何もできない俺たちじゃない。

この力を使うのは今だと、胸を張って言える。

一緒に行こう。

一緒に戦おう、今度こそ」





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