兄妹/奇跡
強く、強く、願った時だった......
―...る
たる....
ほたる....
優しく、でも切ないようなこの声。
これは.....今井くんの心の声?
辛い思いをさせてしまって.....
すまない.....
一から兄妹をやり直そう
蛍のことは、僕が守る....
響いてくる。
伝わってくる。
本当の気持ち。
あの時、蜜柑に入れてもらったあの石。
これは......テレパシーのアリスだろうか。
読心術のアリスだろうか。
そんなこと、今はどちらでもよかった。
早く、早くこれを伝えなければ。
蛍ちゃんに......
「##NAME2##、どうした?」
ボーッとしてたのか、櫻野くんに声をかけられる。
しかし私は櫻野くんには答えず、まっすぐ蛍ちゃんを見た。
「蛍ちゃん!
あなたのお兄さんはわかってる。
あなたが今、ここにいることをわかってる。
心の底では伝えたいことがまだたくさんあって.....
あなたを守りたいと強く、強く.....!」
―ッ
蛍は、兄のもとへと走り出した。
櫻野と、神野がとめるのも聞かずに。
「おい、##NAME2##
どういうことだ?!」
神野が言う。
「いいんです。
多分これで。
今、私にできること.....蛍ちゃんに伝えること。
蛍ちゃんならきっと、奇跡を起こしてくれる.....
なんだかそんな気がして、たまらないの....っ」
櫻野がはっとする。
「##NAME2##、もしかして君は僕のアリスを.....?」
そう、これはテレパシーと直感のアリス。
櫻野のアリスだ。
偶然にも、詩と同じアリスが入っていたのだ。
―でもこれは、##NAME1##の強い思いで発動したアリス。
櫻野にはそう思えた。
自分よりもはるかに強い思いがはたらいて......
櫻野は今、アリスの可能性を強く感じた。
その後、##NAME1##の思いが届いたのか、操られたままで昴は、蛍の傷を治していた。
そしてまた、ここでも強い思いがはたらいてアリスが発動した。
蛍の中に入った、蜜柑のお母さんの盗みのアリス。
蜜柑、あんたのアリスは誰よりも素敵な力....
ありがとう。
結局最後の救いは、やっぱり蜜柑のアリスだった。
過去でも今でも、そのアリスはたくさんの人を救える。
その、明るい心と共に......
「蛍、何泣いてる....?」
「秘密です」
アリスは美しい。
だってこんなにもたくさんの奇跡を生み出すのだから。
こんなに素敵な力を、汚す存在は許せない___________
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