兄妹/奇跡
「よかった....間に合った」
そう、安堵の表情を浮かべるのは、櫻野先輩。
となると、さっきの雷はじんじんで....
そして、詩といるはずの##NAME1##の姿もあった。
―何で....
何で3人がここに....
とりあえず、じんじんによる蜜柑へのお説教を待ってから、櫻野が話し始めた。
「....我々は今まで、高校長の逃亡を手助けしてました。
ある人に高校長の身の上を託し、あなた方と捕えられた今井
両方追っていた所でした」
そう言って、今度は##NAME1##の方へちらりと視線を送った。
「その最中、詩から##NAME2##と一緒にいてほしいと、テレパシーで連絡がきたんです」
「え、じゃあ詩先輩は今....」
蜜柑が不安そうに尋ねる。
今度は、##NAME1##が口を開いた。
「詩は今、危力系の仲間のもとにいるわ。
ずっと一緒にいた仲間を、助けたいって....
守りたいって言って。
でも、詩なら大丈夫だから。
絶対無事でいるって、約束した」
##NAME1##の目は、一旦別れた時よりも一段と強くなった気がする。
そう、蜜柑は思うのだった。
「じゃあ、のばらちゃんと一緒におるんやな」
蜜柑は安心したように、笑顔を見せた。
##NAME1##はうんと頷いた。
こんな時でも、こんなに曇りのない笑顔を見せれるなんて、やっぱりこの子は、
詩の恩師、行平先生の血を分けた子だ。
詩、私も守るよ。
この笑顔を.....
「皆さん、ここは我々が引き受けます。
佐倉さんを連れて、一刻も早く高等部の扉へ」
蜜柑は反論するが、敵の思うつぼだとまたもやじんじんに説教をくらって、黙らざるをえなくなった。
「蜜柑....テレポードだ。
行くぞ」
そう言われたものの、蛍は1人、その場を動こうとしなかった。
「蜜柑....
あたし、ここに残るわ」
静かに、蛍は言った。
「もう一度、せめて最後に、
ちゃんと兄に会いたい...」
蛍の目には、涙が浮かんでいた。
蜜柑もまた、涙ぐむ。
「大好きよ、蜜柑。
きっと、あんたが思ってるよりずっと.....
笑って....蜜柑」
その蛍の言葉のあと、2人は強く強く抱き合った。
その時、一瞬2人の唇が触れ合ったのは、気のせいだっただろうか.........
離れ離れになってだめになるのは、本当はあたしの方だった。
....その笑顔を、やきつけさせて。
どんなに長く遠くにいても、思い出すから。
心の中で光に変わって、いつも私にどれだけ力をくれたか.....
どんな時も蜜柑、
笑って.......
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