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いびつな絆



「―そいつは反逆者だ!

討伐指揮官を負傷させてるぞ

さっさと捕まえろ!危力系!」

いつのまにか破壊されていたドームの穴から、風紀隊が顔を出していた。

そばには、ルイや颯たち。

戸惑った顔をしていた。

「のばらちゃん......っ」

「―この人はもう、初校長の手には渡さない.....っ

この人の人生を、これ以上めちゃくちゃにさせない.....っ

初校長から私が....ペルソナを守る...っ」

駆け寄ってくるルイに、のばらは強い瞳で言った。

ペルソナにはもう、悪の道を歩かせたくない.....

そのためなら私は、何だってする。

初校長の手には渡さない、

ペルソナは私が守る....っ

「ルイさん、みんな.....ごめんなさい。

ペルソナを.....許してください.....

おねがい....

ペルソナを、助けて....っ

この人を、初校長の呪縛から、もう解放させて.....おねがい......」

そう、のばらが涙を流して訴えた時だった。






―ザッ.....





見覚えのある、懐かしい.......あの白い......〝式神〟。

それが風を切って空を踊り、今にものばらに飛び掛りそうだった風紀隊の動きをとめた。

「詩ちゃん!」

「詩兄!」

ルイと颯の声が重なった。

風紀隊は、詩の登場に怯んでいた。

「よ!遅くなったな」

にかっと、いつものように笑ったその姿。

まるでここにいるのがあたり前のように、詩は立っていた。

でも、何年も会ってないかのような、久しぶりに会ったかのような、そんな錯覚に陥った。

「詩ちゃん....無事だったの....」

ルイはまだ、信じられないという様子で呟く。

「なんでこんなところに来たんだ...お前は今、追われてるんだぞ?

捕まったらどうなるか」

「何言ってんの」

八雲の言葉を詩は遮る。

「仲間だからに決まってんじゃん。

お前らも、俺の家族なんだから

お前らばっか危険なめにあわせるわけにはいかねーよ」

ルイはその言葉に、今にも泣きそうだった。

「詩先輩.....」

のばらはつぶやく。

「のばら、ペルソナは初校長なんかにぜってー渡さねーから安心しろ。

.......いつだって突き放せたのに、俺たちがそうしなかったのは、ペルソナの苦しみがわかるから。

俺たちは、みんなで痛みを分かち合える。

俺たちにしかわからないことだからこそ、救えるのも俺たち。

ペルソナだって、みんなの心の奥底ではちゃんと、仲間という存在なんだ。

誰も、一人なんかじゃない......」

詩は真っ直ぐ、のばらの瞳をみて言った。

「のばらちゃん、

あんたの気持ちは痛いほど伝わったから。

いびつなつながりでも、詩ちゃんの言うとおり、仲間なんだから。

これまでも、これからも......」

ルイのそう言った瞳は強かった。

意を決した、その場にいる危力系の瞳全部、とても強いものだった。

再確認した、仲間の絆。

それがあると思うだけで、仲間が一緒にいるだけで、強くなれる。

だから戦う。




僕らの絆は、誰にも断ち切らせない......っ





大切なものを守るために、戦おう。

どんなにいびつな繋がりでも、それはどんなものより強くて、信じることができるから........




「た...大変だ....っ

危力系が寝返ったぞ....っ」





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