いびつな絆
「....危力の....あいつらのとこには、俺1人で行く。
わかってくれるか、##NAME1##?」
「....うん」
静かに##NAME1##は頷いた。
「...でも、##NAME1##を1人にさせるわけにはいかないから、___
少しだけ、結界を緩めてくれるか?」
「え...?」
「秀と連絡をとりたい___」
(秀、秀....聞こえるか?)
詩は、自分の中に入った櫻野の石、テレパシーを使って櫻野に呼びかける。
(聞こえたら、応答してくれ....っ
秀...秀....)
(―詩か?!)
(秀!)
(そっちはどんな状況なんだ?みんな、無事なのか?)
秀の心配そうな声が響く。
(すまない、今状況を全部話している時間はないんだ。
今はいろいろあって、俺と##NAME1##の2人だけだ。
でも、蜜柑たちもきっと無事だ。
信頼できる仲間がいるからな)
詩が答える。
(そうか。
―それで、どうした?)
(ああ、単刀直入に言うと、##NAME1##をお前に託したい)
(な...っ、どういうことだ?)
思ったとおり、驚く秀。
(今から俺は、危力系の仲間のもとに行く。
決して、裏切りとかそうゆうのじゃない。
ただ....
仲間を助けにいくだけだ)
(そういうことなら.....わかった。)
すべてを理解したわけではないが、櫻野は詩の必死な様子に頷いた。
(秀....##NAME1##を頼む。
今からテレポートで、そっちに向かう)
(ああ、待ってる........詩!無理だけは、しないでくれ.....)
(わかってるよ、秀。
秀も、無事で....)
表情は見えないが、いつものように笑う詩の姿が、櫻野には見えた。
「謝ってください、ペルソナ.....
蜜柑ちゃんに....今まで傷つけてきたすべての人達に。
自分の道が過っていた事を、認めてください。
あなたが間違い続ける姿を、これ以上行平先生に、見せ続けないで......っ」
「のばら....きさま.....っ」
サッと瘴気が、氷のドーム内に広がった。
それはのばらをも、飲み込んだ。
「のばらちゃん!」
ドーム外でルイが悲痛に叫ぶ。
―先生に花を....せめて花を....
「ごめんなさい」の言葉をあの時、受けとってもらえなかったから......
....なのに、それすらもできない.....
自分のアリスから、手に触れるものを守ること……あんなに教えてもらったのに……
あの日を境に、悲しみが止まらなくて、どうしてもできない.......
花一つ僕は、自分のアリスから守ることができない。
僕の気持ちは、先生にも誰にも、永遠に伝わらない.............
「.....そんなことないっ」
「...のばら!?」
「あなたは大きく...悲しい誤解をしている。
あなたは人を...ちゃんと守れる人。
歪んだ罪の意識で、自分の周りの人を貶めるのはやめて..........」
―痛みと一緒に...絡みつく瘴気からあなたの記憶が、私の中に流れ込んでくる.........
―あの時、私の中に入ったアリスの1つ....
その石は、棗くんのお母さん....馨さんの.....
「きさま...何を言ってる......」
「レイ、君という人を育ててくれた行平先生には、とても感謝している」
「だが残念ながら、彼の役割は終わったんだ。
君の心に深い傷を残す形で....」
「しかし彼の尊い死が今の君を作ってくれた事は間違いない」
「忘れるんだ、彼との日々を....
君は正しいことをした.......」
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