いびつな絆
親にも疎まれ
学園の前に捨てられたみじめな私を
あの時あなたはためらうその手で....
どんな思いで....
私の手をとってくれたのか
今ならわかる
その仮面の下で
私達との日々をあなたがどんな思いで過ごしてきたか
誰からも愛を注がれたことのない者同士の私達が
つくりあげてきたそんな不器用な絆を
私が.....
壊した.........
それがどんなに
あなたを深く傷つけたかも
今になって
やっとわかる
あなたの
深い孤独が
子供のようなあなたの
哀しいほどの渇望が.....
ごめんなさい
ペルソナ...
ごめんなさい.........
「うまく逃げたはいいけど.....
それにしても、追手.....
こないな」
翼がぽつりと呟く。
それにはっとする殿。
「そうだ。
##NAME1##ちゃんがいないのに、大丈夫ってことはもしかして.....
この中の誰かに、〝結界のアリス〟ストーンが入ってるからじゃないか?」
..........そんな殿の言葉の後、案の定、結界のアリスをもっている人が見つかった。
―君かあ....ルカぴょん!!
「どこへいくつもりだ」
そう、険しい表情で尋ねる彼。
「棗くん...っ」
「お前の様子がおかしいことくらい、
とっくに気付いてんだよ」
あまりに強い瞳。
今自分がしようとしていることを話さなきゃいけない。
とっさにそう思った。
「ペルソナの下にいきます....っ
彼らを....止めるために......っ
私の裏切りで彼らを暴走させてるなら....
彼らと戦うのは
私だけでいい....っ」
「お前、何言って....」
「皆さんを.....
蜜柑ちゃんを.......
あの時みたいに傷つけたくない
仲間や....
ペルソナが、
これ以上誰かを傷つけ罪を重ねるなら
その相手はもう....
私だけでいい」
「お前...」
「それが私の....
けじめなの
仲間を裏切って蜜柑ちゃんを選んだ....
その気持ちに今でも後悔はないわ.....
それでもやっぱり
仲間を見捨てることはできない....
私が彼らを止める
どんなことをしても....
蜜柑ちゃんを....
仲間を救えるのなら
そのためにこの力が役立つなら......
私ははじめて自分のアリスを誇りに思える
.....ずっと、詩先輩みたいになれたらって思ってた
でも私には無理だとどこか決め付けていた。
私には誰かを守る強さも、流れに逆らう勇気もないから....
でも、詩先輩の過去をみて、詩先輩だって自分のアリスのために辛い思いをしたり、
悩んだりして、それでもちゃんと
自分のアリスと向き合っていることを知ったから.....
それが私の力になったから、
もう迷わない......」
「お前....
何考えて....」
「ずっと...
ずっとアリスとして生まれたことがかなしくて.....
嫌でたまらなかった」
親に見放され、
人を傷つけ脅かすことで生きる道をたてるしかなかった.....
人に忌み嫌われ、
....仲間以外
私の周りは悲しみや嫌悪に満ちた顔ばかり.....
でも....
蜜柑ちゃんだけは違った....
私の秘密....二重人格を知っても、
変わらず優しく接してくれた
「蜜柑ちゃんにつたえて.......
蜜柑ちゃんに出会えて
本当に楽しくて....
幸せだった
笑いかけてくれて
本当にうれしかった」
....だから私は
きっと蜜柑ちゃんを守るわ
あなたの笑顔が
大好きだから
その笑顔を曇らすことなく
いつまでもみていたいから.......
そして、私に仲間をくれた、
私の居場所となる危力系という場所をつくってくれた、
詩先輩は誰よりも仲間を大事にしていて.........
そんな先輩はきっと、仲間同士で傷つけあうのが一番辛いはず。
さっきも操られた人達を前に、身動きをとれないでいた先輩の横顔はとても悲しそうで......
そんな先輩の顔はもう、見たくない....
今度は私が守って見せます...........
「##NAME1##.....
俺やっぱ、あいつら見捨てるわけにはいかねぇ....
俺らは仲間なんだ
これ以上、自分のアリスで辛い思いなんかしてほしくねぇんだ......」
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