式神使いの闇
「みんな、先に行ってくれないか?」
詩の言葉に、みんな戸惑う。
「え...」
「こんな体だ。
回復にもう少し時間がかかる。
その間に敵がきたらきっと、俺は足手まといになる」
詩の言っていることもわかるが、かと言っておいていくことなどできない。
そこで前に出たのが##NAME1##だった。
「それなら、私も一緒に残るよ」
「確かに、##NAME1##ちゃんの結界があれば心強い。
幸か不幸か今詩の中にあるアリスの量は少ない。
暴走するなんてことはまずないだろ」
殿はそう、##NAME1##の言葉に頷いた。
「そうだよな、##NAME1##先輩なら安心して詩預けられるわ」
翼もうんうんと賛同した。
「今度は私が詩を守るよ」
そう言った##NAME1##の目も強かった。
「今のお前に拒否権はねーよ。
最善策だってことはお前が一番わかってんだろ」
少し迷いを見せた詩だったが、その棗の言葉に背中を押される。
「うん、わかった。
##NAME1##、頼むよ」
詩が人に頼るのは珍しく、詩自身もなんだかくすぐったい感じだった。
「詩、とりあえずこれは返す」
棗が詩に渡したのは詩からもらったアリスストーンだった。
「わりーな、なんか情けねー」
詩は受け取って言う。
「そんなのお前が元気なときにいくらでももらってやる」
「あいっかわらず生意気だなーお前」
詩は笑って嫌がる棗の頭をガシガシなでた。
「でもお前がいるだけで安心できるよ。
無事に蜜柑を柚香さんのとこまで送り届けろ」
「当たり前だ」
「そして、棗も無事な姿でまた会おう」
「お前もな」
2人は強い瞳で見つめあう。
お互いの意志の強さはそれだけで確認できた。
同じアリスの形だからわかりあえることがある。
無事という言葉にこめられた思いは人一倍大きい。
「じゃーな、またあとで!
みんな無事でまた会おう!」
最後に、殿がそう言った。
そして、蜜柑のテレポートにより詩と##NAME1##を残して皆の姿は消えた。
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