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式神使いの闇



―化け物...っ

―こっちを見ないで!

―気持ち悪い.....



―お前のアリスは汚れている.....お前自身も.......

―みんなを守るなんてお前には無理だ.......

―お前はほんとは弱いんだ....アリスがなきゃ、何もできない.....

―結局お前はアリスを必要としているんだ.....

―化け物といわれても、闇を彷徨おうとも........





「...違う...違う....っ」

詩は膝まづいたまま、弱弱しく呟く。

「消えろ....消えろ....やめろ....やめてくれ....やめろーーーーーー!!!」

頭をかかえ、詩は狂ったように叫んでいる。

......いろんな声が、頭の中でこだましている。

それを、振り払うかのように、詩は嘆き続ける。



「詩先輩....詩先輩......」



蜜柑は唇を噛みしめていた。

こんな詩先輩、見てられへん...っ

横で今にも泣きそうで震える##NAME1##を見て、蜜柑は強く思った。

助けないと、詩先輩を!!!






「もう、やめて!!!!」





蜜柑の叫び。

それと同時に、強い光が放たれた。

さっきから、無効化を使ってもびくともしなかった詩の強い式神のアリスは、今までにない強いアリスに包まれた。





光が収まると、みんな驚いた。

さっきまであんなにたくさんあった式神は跡形もなく、かわりにそこら中に詩のアリスストーンが散らばっていた。

それもかなりの量。

そして、月明かりに照らされ、その藍色はこの場に不釣り合いなくらいきれいに光っていた。

青い星屑に、皆目を奪われた。






「詩!」

みんなで詩に駆け寄る。

詩は苦しそうに息をしていた。





だけど、蜜柑の頭をぽんとなで、

「助かったぜ、蜜柑。

また、蜜柑と、そのアリスに助けられた...

はぁ、はぁ.....

早く、テレポートを...」

どうやらもとの詩に戻っているようで、ひとまず安心した。

「でも、詩先輩の石が...」

「今、全部体に入れてる時間はねぇ....

はぁ、はぁ....」

詩はそこらへんにあるストーン2,3個に触れて体に戻し、すぐにそれを東堂たちに向ける。




―ザッ



とそれは、いまだ倒れている彼らにまとわりつき、今度こそ自由を奪った。

何をするかとみんなが目を見開くが、

よく見ると、東堂は倒れながらもこちらに銃の引き金を引こうとしているところだった。

詩がとめていなければ......





「早く蜜柑。

行くなら今のうちだ」

そんな詩に頷き、蜜柑はテレポートをした。

藍色の石は、寂しくその場に残った........










「あんなの、見せたくなかったな」

ははっと、力なく詩は笑った。

それが痛々しかった。

「あれが、本当の俺だよ....

汚れてるんだ、俺も、俺のアリスも.....

だからいらない、あんなアリス......

置いてきて、よかったんだ....」

詩は、自分に言い聞かせるように言った。






「何言ってんだよ

さっきはお前のアリスのおかげで助かった

お前に、俺らは守られた。

お前は、みんなを守ったんだ。

すまない、1人で戦わせて。

確かにみんなで戦うって決めたけど、

あいつら見た瞬間、俺だけじゃなくてみんな思ったよ。

あの敵は俺らがどうこうできるレベルじゃねぇって......

俺ら、甘かったのかな.....

俺、少しでも詩に近づけたと思ってたけど。

まだまだだったな.....」

「なーにらしくねーこと言ってんの」

やるせない表情の殿に向かって、詩はいつものように笑ってみせる。

だけど、いつもの元気はなく、ひどく疲れていて、立てずに地面に膝をつけたままだった。







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